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あの本は今、

私の「花戦さ」がない。
紛失したのではなく、多分、人に貸してる。
好きな本なので色んな人にお勧めして、貸してた。
そして最後にいつ誰に貸したっきりなのか分からない。でもこの2年間程、手元にないことだけは分かってる。
母かな、友達かな。
尋ねて、もし間違ってたら気を悪くするかな。


あの本について、細かい内容はあんまり覚えていないし、そもそもまだ一回しか読んでないけど、私にとって大事な本だった。

池坊専好の話で、
千利休との熱い友情や、物静かな池坊が秀吉に挑む精神の戦いに、心震えた。
池坊の花への姿勢に、こちらまで精神が研ぎ澄まされる感覚になり、彼の強い反骨精神に、悲しみや怒りに、こちらまで胸が熱くなった。
そして、あの本を読んだ時に触れた、命懸けで美を追求することの尊さは、自分がそれまで触れたことのない感覚で、心動かされたことを今でも覚えてる。(読んだのは3年ほど前だけど、、)

ネタバレしないようにと思うとどう書いていいのかわからなくてぼんやりしてるけど、本当におもしろかった。
命懸けの"花いくさ"の話だった。

歴史小説なのに読みやすく、あの本きっかけにいろんな歴史小説もぽつぽつ読むようになった。
あの本を読んでから華道に興味を持ち、京都の六角堂へ遊びに行ったり、ちょっと華道に触れてみたりもした。

寮母さんから譲ってもらった本だった。そんな大事な本なので、どうか我が家に帰ってきてほしい。
そんな大事な本なのに所在を把握できてない自分の責任でもあるけど。でも、まさか貸したものが返ってこないなんて思ってなかった。

どこかなぁ、母かなぁ、母だったらいいなぁ、聞きづらいことに変わりはないけど。
どこかでまた違う誰かに読まれてるならいいけど、忘れられてるなら嫌だな。

もし私が本だったら、忘れられることなく、定期的に触れられたいし読まれたい。
やっぱり色んな人に聞いてあたるしかないのかな。嫌だな。
怒らないので自己申告してほしい〜


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