【小林さんちのメイドラゴンs】作品紹介の為の「才川リコの幸せな生活」
●前口上「おいらと小林さん」
今、仕事も手につかないほど惚れ込んでいるアニメがあって、我ながら困っている。
おせっかいを焼きに部屋へ来てくれるうちの婦長さんも、毎度youtubeでおいらが同じアニメを見ているので、もう文句さえ言ってくれなくなってしまった、それほどのハマりっぷりなのだ。
そのアニメとは「小林さんちのメイドラゴン」という作品で、埼玉県越谷市に住む普通のOL(というか北千住にあるソフトハウスでSEをやっていて、その仕事ぶりには定評がある)小林さんが、異世界からやってきたドラゴンと共同生活を送ることになる。その日常を描いたホームコメディだ。
小林さんちのメイドラゴン - wilipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A1%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3
テレビは2017年1月から第一期(全13話)が、今年7月から第二期が東京MXで毎週水曜日の深夜0時からそれぞれ放送されている。
製作は京都アニメーション(以降京アニ)が担当しているのだが、この放送期間を見て「おや?」と思われた方も多いはずだ。そう、2019年7月18日に起きたこの悲しい事件の被害を受けて、この会社は何物にも代えがたい資産を多く失ってしまっているのだ。
京都アニメーション放火殺人事件 - wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E6%94%BE%E7%81%AB%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
おいらは「時々アニメにハマる」という始末の悪い類のファンなのだが、2017年1月はその何度目かの波の最中にあった。あの時は「けものフレンズ」のブームが始まっていて、年甲斐もなくおいらも携帯の待ち受けにサーバルちゃんの画像を使い始めていた、そんな状況にあったのだ。
あの騒ぎの裏で、第一期の「小林さん」も放送をしていた。なので、youtubeで動画を漁る時には「けもフレ」と一緒に「小林さん」も引っかかるようになり、似たような絵のタッチであることから試しに「小林さん」動画も見るようになって、がとっかかりだった。
テレビを持っていなかった上、当時使っていたPCにDVDデバイスがなかったこともあり、おいらはyoutubeに切り抜き動画がアップされれば「小林さん」の断片を見る、という形でこのアニメを楽しんでいた。というのも「小林さん」は原作の漫画も好調で、すぐに第二期としてアニメ化されるという話が、ネットでは普通に流れていたからだ。なので、慌てて終わった第一期を追わず、第二期を待って部屋の装備もその時に考えよう、とのんびり構えていたのだ。
しかし、2019年に事件が起き、おいらの温い思いは一瞬で吹っ飛んでしまった。
京アニのビルが燃え、機材や大事な過去作品の資料などが失われただけでなく、10人の方が命を失った。その中に「小林さん」の監督、脚本、絵コンテを担当していた武本康弘氏がいたのだ。
武本康弘 - wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E6%9C%AC%E5%BA%B7%E5%BC%98
武本康弘氏は第二期の製作にも入っていて、事件はまさにその渦中で起きたものだった。
実際は、火災で既に絶命していたとのことだが、その訃報が流れたのは1週間後だった。被災したと聞いてから、ずっと生還を祈っていたおいらは本気で泣いた。あの時から、事件を思い出してしまうので「小林さん」を避けるようになり、アニメ熱も一気に冷めてしまっていた。
ただ、京アニの文字がメディアに流れれば、それだけは目で追うようにしていた。心のどこかで「武本康弘氏が不在では無理だ」とわかっていても、「小林さん」の第二期がどうなるのかだけは気になっていたのだ。
だから、今年2月に第二期のタイトルが「小林さんちのメイドラゴンs」となることなどが発表された際には、小躍りして喜んだ。それから約半年の間、それこそ一日千秋の思いで放送開始を待っていた。今も相変わらずテレビはないが、おいらはPCとスマホを総動員して「小林さん」三昧の日々を味わっている。
●作品紹介の為の「才川リコの幸せな生活」編
「小林さん」は、複数のドラゴンがそれぞれに人間と交流していく様子が描かれており、それを全て取り上げてしまうとwikipediaを個人で編集することになってしまう。
ここでは、その中で最もハートウォーミングな展開となる小学生コンビの組み合わせに焦点をあて、話を進めていくことにしたい。
★登場人物1:カンナカムイ
最初に小林さんと同居を開始することになるトールを追って、物語に登場する。本体は白い体毛に包まれたドラゴンだが、年齢は非常に若い。その為、人間の形態でも児童レベルとなる。薄紫の上品な色の髪を頭の後ろで二つに分け、それぞれに大きな玉飾りで留めている。人形のようにかわいい容姿で、民族衣装とも言えるフリルのついた独特のファッションをしているのだが、人間から見れば立派な「ゴスロリ」で、それがまた幼い女の子な雰囲気を際立たせている。愛称は「カンナちゃん」。
小林さんと一緒に暮らしていくうちに人間への興味を強め、部屋から子供たちが学校へ通う姿を見て、自分も入学したいと言い出す。小林さんはその希望を聞き入れる。
カンナは近所の朧塚小学校へ、3年2組への転校生として加わることになる。
★登場人物2:才川リコ
朧塚小学校3年2組に通う女の子。女王様を自負しているが、マウントをとらなければ会話のきっかけがつかめない、単に不器用なだけという子なのだが、幼い小学生の中では尖った存在になっていて、男子、女子どちらからも煙たがられている。
★『あなたちょっと目立ちすぎじゃない!?』
登校初日から三桁の足し算を難なくこなし、ドッチボールでは男子も捕球できない強い球を投げた為、クラスの子供の話題はカンナに集中する。それを面白くないと感じた才川は、女王の立場が危うくなると対決を申し込む。
『目立ってる?』
驚くカンナに才川は
『目立ってるわ!もう可愛すぎるから腹が立って抱きしめたくなる』
と、言葉の端々に本音も交えた啖呵を切って、対決だ!と迫る。
悪い子じゃないことは大人の目にならわかる。だが、喧嘩腰での上から目線で言葉を繰り出す才川に、周囲で見ていた友達連中が反応する。
「カンナちゃん止めときなよ。才川さんはズルイし汚いし負けを認めないどうしようもない人なんだから」
こんな風に思われていたなら、才川がクラスでうまく立ち回れていないのもよくわかる。これで対決し、カンナが勝ってしまったら才川は本当に居場所がなくなってしまう・・・。
しかし意外にも、これを聞いてカンナが泣き出してしまうのだ。
カンナは、小林さんから人間界では目立つことはよくないと教えられていた。才川から「目立っている」と指摘され、これはまずいと悟り、とっさに泣きまねで場を取り持ったのだ。
そして夜、会社から帰宅した小林さんから、学校はどうだった?と尋ねられたカンナは
「楽しかった」
と即答するのだ。
★「ぼへぇぇぇ~!」
翌日、才川はカンナと一緒に下校する。泣かせてしまったことで謝りやすくなったのか、才川は空威張りしてマウント女王でいることも、あっさり捨てたのだ。
その道すがら、カンナから「才川やさしい。好き」と言われ、才川は全身からハートマークを吹き出しながら「ぼへぇぇぇぇ~!」と悶絶する。
カンナは放任主義の親に育てられた為、構って欲しくていたずらを繰り返し、竜玉という宝物を壊してしまった。その罰として人間界へ追放され、自力では戻れないからとトールの元へやってきた。学校へ通うという概念のないドラゴンが、似た年齢の幼竜と一緒に過ごした経験もなく、そんなカンナにとって才川は初めてできた同年代の友達だった。
カワイイものが大好きな才川も、初めてできた友達から好きだと言われ舞い上がった。その結果が「ぼへぇぇぇ~!」なのだが、以降は才川と言えばこれ、の代名詞なワザとなっていく。
★「ぼへぇぇぇ~!」連発
図工の授業で
「カンナさん、私を描いてくれるの?」
「ともだち」
「ぼへぇぇぇ~!」
理科の授業で
「教科書忘れた」
「しょーがないわねぇ」w
ちょこんとカンナの肩が才川に触れる。
「ぼへぇぇぇ~!」
給食時間
(パイナップル入り酢豚…これ嫌いなのよね)
給食当番のカンナを見て、かわいい・・・、とときめく才川
「余りそうだからおまけ」
パイナップルを更にカンナに足された才川
「ぼへぇぇぇ~!」
★「ねぇカンナさん。今度うちに遊びにこない?」
一緒に学校から帰っているカンナを才川が誘う。
部屋の中で、目立つようにわざと置いていたツイスターゲームに反応するカンナ、才川と二人で身体の寄せ合いが始まる。カンナの身体の柔らかさを体感し、悶絶する才川。
テレビゲームがしたいというカンナ。才川を正座させると、その膝にちょこんと座ってゲーム操作を始める。
「これが落ち着く」
というカンナの声に、才川は心の声で「幸せ~!」と答える。
思わず後ろから抱き着く才川に
「才川きつい」
とカンナがクレーム。
そして突然
「…ねぇ才川。私、クラスの子と仲良くできてる?」
と切り出す。
「そりゃできてるわよ。カンナさんは何でもできて皆から褒められて」
才川が答えるとカンナは
「なんか違うなって思っちゃう。上手く言えないけど小林とトール様みたいな…そういうのが欲しい」
と言う。
才川が
「私はカンナさん好きよ。もっと仲良くしたいと思ってる。正直結婚したいくらい」
後ろからカンナを抱きしめながら言うと、それを聞いたカンナは、
「じゃあ…もっと仲良くしよ?」
と才川を押し倒す。
・・・そこへ、別の部屋で小林さんたちからメイド談義で攻撃を受け、逃げてきたトールが助けを求めにきた為、カンナの「なかよく」は未遂に終わる。
カンナたちが帰った後、一人で部屋にいた才川は
「何するつもりだったんだろう…」
と悶々とした時間を過ごす。
カンナはカンナで、家に帰り窓の外を眺めながら
「したかった…」
とつぶやく。
(ドラゴンは、お互いの身体を舐め合ってきれいにする、という習性があり、カンナもトールと向こうの世界ではそれをした経験があるらしいので、そういう意味からの「才川ともお近づきの舐め合い」をしたかった?と解釈をしているのだがw際どいシーンだったのは確かだ)。
★「私にまかせて」
運動会でも才川はカンナに付きっ切り状態だ。
二人三脚
カンナが二人の足を縛る
「ぼへえぇぇ~!」
カンナへ身体を寄せる
「ぼへぇぇぇ~!」
結果レースは惨敗・・・
「ごめんなさいカンナさん。なんか幸せ過ぎて…」
綱引き
自分の前で綱を引くカンナの背中に触れて
「ぼへぇぇぇ~!」
が、その卒倒する力が加わったことにより綱引きには勝ってしまうw
女子リレー
第三走者の才川へカンナが
「才川、頑張って」
と声をかける。
「もちろんよ。1位でカンナさんにバトンを渡すわ」
と答える才川。
バトンを受け取り颯爽と走り出す才川、トップに立つか?という所でバトンを落としてしまう。
急いで拾い上げ、後を追う才川。必死で走るも追いつけず、目には涙が浮かんでいる。
「ごめんなさい…」
バトンをカンナへ渡す更に涙目の才川へカンナは
「まかせて」
と言い残してスタートしていく。
カンナは激走し、ホームストレートでトップをかわし勝利、3年2組も逆転で学年優勝を勝ち取る劇的な結果に。
カンナの元に集まるクラスのみんな、しかし失敗した才川はその輪に加われない。
だが、カンナはそんな才川の涙をペロリと舐め上げる。
「うわっ!?あの…ごめんなさい私のせいで」
申し訳なさに「ぼへる」のも忘れた才川へ
「才川があそこまで差を詰めてくれたから勝てた。ありがとう才川」
とカンナが感謝の言葉を告げる。感激を爆発させて抱き着く才川。
★「あったか~」
カンナに自分の着物を貸して年末年始の「お着物デート」を画策した才川。
落ち合う早々、カンナが冷えた手を才川の頬っぺたにあてて
「あったか~」に才川は
「ぼへぇぇぇ~!」
★縁結び未遂
お守りを買おうとカンナを誘う才川
「お揃いで買わない?この、え、縁結びとか…」
しかしカンナが買ったのは学業成就のお守りだった・・・w
★初日の出
小林さんの家へみんなで泊まり込み、初日の出を拝みに向かう。
才川はカンナの隣でご来光を仰ぎ、満面の笑み。
・・・この後。第二期も才川はやってくれるのだがw
テキスト量が多くなったので、ここで締めとさせていただきたい。
今や、日本のアニメファンだけでなく、海外でも才川の名前は知れわたっている。
日本アニメを見てリアクション芸を披露しているyoutuerのマッシュアップ動画でも、その認知度の高さがわかるので、ご紹介といきたい。画面に登場すれば「サイカワ!」と声がかかる人気っぷりだw
Miss Kobayashi's Dragon Maid Season 1 Episode 9 Reaction Mashup - 小林さんちのメイドラゴン 1期 9話 リアクション !!
https://www.youtube.com/watch?v=R-edsyCJvUM
「小林さん」はどのキャラも立っていて、そのあまりの充実ぶりにスピンオフの連載漫画がいくつか同時に進行している。原作漫画は「月刊アクション」で連載されているのだが、おそらくあの雑誌は今や半分が小林さん関連の作品となっているはずだ(メインのドラゴンが5匹いて、そのうちの4匹に単体での連載があったはず)。今回紹介したカンナにも「カンナの日常」という連載漫画があって、小学校での生活はそこをメインにして描かれている。
才川を取り上げたのは、彼女が最もドラゴンから影響を受けている人間だからだ。カンナと出会い、幸せを実感できるまでになった、それを祝福してあげたいと考えたのだが、いかがだろうか。ドラゴンの寿命の長さを考えると、100年経ってもゴスロリのままであろうカンナに対し、あっという間に才川はお姉さん、オバサンへと変貌してしまうはずで、それを思うと途端に切なくなってしまうのだが・・・。
だが、それもまた味だ。何にしてもこのアニメは、こんなほっこりする世界が毎週繰り広げられている。今まで落胆させられた回は1つもなかったし、当然最終回までそれは変わらないだろう。
自信を持ってオススメできる作品である。
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