（18）かわいい訪問者

コアラの国を東から西へ

５月３０日
『ねえ　ねえ　ルーちゃん　コアラの国っていろんな動物がいるでしょ。それっていつでもどこでも会えるの？』
『あのね　コアラの国ってとても広いの。それに動物達はそれぞれ違う場所で暮らしているから　みんなと一度に会う事は無理なの。』
『そうなの？　じゃあ　こういうこと？　
たとえば、東のユーカリの木の上で暮らすコアラが　西の方で暮らすカンガルーのルーちゃんにお手紙を書いたとするでしょ。まずそれを木の根元に落とすの。そうすると　ワラビーがそれを拾って、ポケットに入れて、西へ西へと旅をするの。北のルートをたどる時はワニに注意、南を旅するときはペンギンにあいさつ。それから　私に良く似たオオカミみたいな　ディンゴにも注意。イグアナやアザラシにも　あいさつしておこうかな。それで、最初に見かけたカンガルーに手紙を渡すの。
そのカンガルーは、その手紙をポケットに入れて、西へ西へと進むの。途中に　何とかロックっていう　大きな赤い岩があって、そこを超えて、ずっとずっと行ったところに、ルーちゃんのふるさとがあるんでしょ。それで、ルーちゃん村、ルーちゃん通り、ルーちゃんの家を見つけて、その手紙を渡すの。
“コンコン！　どなたかいらっしゃいますか　カンガルーのお手紙配達です。”
・・・なんてことはないのかな？』
『わお～　モモちゃんスゴイ　どうして知ってるの？』
『えっ？　あたってるの？』
『まさか・・・でもね、私のお兄ちゃんは一度だけ、その配達をしたことがあるの。でもカンガルーに届けるはずが、人間のおうちのドアをコンコンってノックしちゃってね　ドアを開けた人間はびっくりしたみたいよ。お兄ちゃんもびっくりしたんだって。それっきり二度とお手紙の配達はやっていないと思うわ。』
『そのお家の人はびっくりもしたでしょうけど　ものすごく喜んだと思うな　玄関に何てかわいい訪問者が来てくれたんだろうって。カンガルーのお手紙配達屋さんか・・・いいなあ！』