![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/43756718/rectangle_large_type_2_4d7e0ad4c79ad39e23c8a82c63ba5b8a.jpg?width=1200)
7 助けたい命 SOS発信?
どうするイクラ!
アヒルです。動けなくなってしまったアヒルがそこにいたのです。イクラはアヒルの匂いを嗅いでみました。怪我をしているようです。アヒルはイクラに気づき逃げようと思いましたが、羽を広げるだけの力もなく 又立ち上がろうにも足が痛くて立ち上がれずそのまま倒れ込んでしまいました。イクラはアヒルの脇腹あたりに軽く鼻を三回ほど押し当ててクンクンと優しい声をかけながら何とか立たせようとしてみました。でもアヒルにはもうそんな力は残っていないようです。
イクラは今度はアヒルの背中に鼻を一回だけちょっと強めに押し当てると ここにじっとしておいで とでも言うように小さくバウという声を残して一目散に家に向かって走り出しました。
家にたどり着くと犬小屋から一番近いサンルームの窓に手をかけて立ち上がり 家の中を覗きこみながら大声でアキコさん達を呼びました。誰か緊急事態に気づいて早く早く、そうは思っても家の中の賑やかさにイクラの声はかき消されてしまって、なかなか気づいてもらえません。イクラは鳴き続けました。そしてようやくお母さんが気づいてくれました。
『あらイクラどうしたの。ご飯はもう食べたでしょ。おや そんなところにいるという事は鎖がはずれたのかな。ちょっと待ってね。今行くから。』
良かった。お母さんが外に出て来てくれそうです。でもここで鎖につながれてしまっては大変です。イクラは何とかお母さんに一緒にアヒルの所まで行ってほしいのです。イクラの首輪部分をつかもうとするお母さんの手をするりとかわして、お母さんがついて来てくれるのを確かめるようにイクラは何度も振り返りながら家から少しずつ離れて行こうとしました。