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S-38 恐怖のトーカキ

木の扉をひっかいているような音を出す妖怪?

それは とある春の夜の出来事でした。
いつもと違うことと言えば、生暖かい風が吹いていたことと 時折遠くでカミナリの音が聞こえて やがて大風になったこと。それからもうひとつ変なというか 不気味な音がしたことでしょうか。
これはまあそんなに大したことではないとは思うんですけどね・・・・。 風のいたずらって感じたことありますか? あちこちの木々の葉が次々に揺れて まるで目に見えない大きな生き物が体をゆさゆさとゆすりながらその辺を動き回っているような感じ。それがあの夜の出来事の始まりだったんです。
 あっ だんだん風が強くなってきました。ドドドッと押し寄せてはあたりの木々の枝も葉っぱも思い切り揺らします。そしてふっと気配を消して静かになります。でもまた激しい木々の揺れが始まります。しばらくはこの繰り返し。
 そしてその後 突然物凄い大風がやってきて木なんか簡単に折れちゃうんじゃないかと思える程に荒れ狂いました。そしてお家の壁に何度も大きな大きな風の塊がぶち当たったんです。そして・・・
ガガガー ギギギー キー キー キーッ まるで鋭い爪で木の扉をひっかいているような音 耳をつんざくような音が続きました。
『ヒッ キャー こっ こわいよう!』

そして次の日。
『モモ 夕べは怖かっただろう。風が強かったもんな。』
あっ お父さんだ。私のこと心配して見にきてくれたんですね。家のまわりをぐるっと回って調べています。お家の壁を見上げて言いました。
『あれっ 何だろう。 壁に引っかき傷みたいなものがあるぞ。』
えっ おっ お父さん それって もしや うわさで聞いたことのある アレですか? 恐怖のトーカキ!

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