東京名物百人一首(4) 小川一眞写真店／築地活版製造所／廣目屋／赤坂春本・赤坂林家
小川一眞写真店
僧正遍照
玉すかで 光線の通路 写してや
乙女の姿 板にとめん
【元歌】
天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ
をとめの姿 しばしとどめむ
小川一眞写真店は、当今写真界の冠にして、東京名物の一也。
※ 「小川一眞写真店」は、米国で写真技術を学んだ写真家・小川一眞氏が、明治十八年（1885年）に飯田町で開業した写真館「玉潤舘」のことと思われます。
築地活版製造所
陽成院
築地にて わけて名高き 印刷の
活字揃ふて 文字となりぬる
【元歌】
つくばねの 峰よりおつる みなの川
恋ぞつもりて 淵となりぬる
※ 「築地」は、明治六年（1873年）に平野冨二氏が設立した活版印刷機の製造会社「築地活版製造所」のことと思われます。
廣目屋
河原左大臣
町ゝを 弘め歩行は 誰ゆえぞ
皆 廣告は われならなくに
【元歌】
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし 我ならなくに
※ 「廣目屋」は、明治十八年（1885年）に秋田柳吉氏が京橋五郎兵衛町で開業した楽隊などを使った広告屋の名前。
赤坂春本・赤坂林家
光孝天皇
君方は 赤坂歌妓の 若なつむ
誰春もとに 彼ははやし家
【元歌】
君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつ
※ 「春もと」と「はやし家」は、赤坂にあった芸妓屋の名前。
赤坂にて有名なる春本に及び林家は、常に抱へ蓺妓五十名内外の者を有し
盛大驚ほどや。此二家は、他に及びなき東京名物の一也。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字･誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介／免責事項」をお読みください。📖