「酔いならば早く醒めてくれ」

直近で出演した公演において、酒にも男にも自分にも酔った状態で「このまま夜が明けなきゃいいのに」と叫んだのちに熱烈なキスをかます、みたいなシーンをやったのだが、今のわたしはその逆で、「酔いならば早く醒めてくれ」と思っている。

いやいやわたしは、ずっと酔っていないつもりだった。なんなら今もまともなつもりで、だからこそ「ならば」なんて言葉遣いをしている。これもきっと第三者的に見ると酔っているからなんだろう。それでもわたしはまだ懐疑的だ。

ずっと努めてまともでいようとしていたことを、そして努めて自分と相手の心に素直に応えようとしていたことを、そうしたいと思っていたことを、「酔っていたから」としか処理できない状態って、マジで最悪なんだね。

「酔いならば早く醒めてくれ」

もし仮にそうならば、もしくはそう処理するしかないならば、どうか早く醒めてくれよ。まともに素直に正直に普通に「戻れる」なんて別に思いはしないけど。まともで素直で正直で普通だったつもりだったのは「酔っていたから」なんだとしたら、じゃあどうか「戻して」みてくれよ。

そして、それでも、やっぱりまだ「ならば」なんて言っちゃってるくらいには酔っているんだとしたら、悪いのは酔ったことではなく醒めかけていることだと、もっと言えば醒めさせてしまったてめえだと、わたしは思います。酔いっぱなしだって日常やデフォルトになればただの「普通」だ。