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「好きって言われたらなんでも許してあげなきゃダメなんですか?」

タカユキとミチコ・ラブホテルの一室にて

タカユキ…ミチコをセックス目的でナンパした男。
ミチコ…一見ナンパになんか絶対ついてこなさそうな女。

【ここまでの展開】
「たまには地味な女を」とタカユキが軽い気持ちで誘った女・ミチコは実は処女だった。面倒臭がり抱けずにいるタカユキにミチコは何故か積極的に抱かれたがる。興味本位でデートを重ねるうちにミチコのことが気になってきたタカユキは、きちんと告白しようと意気込むがミチコの望むデート先はやっぱりラブホテル。「何故セックスしてくれないのか」と迫るミチコに告白したタカユキは見事にフラれ、どうしてそんなに抱かれたがるのか半ば責めるようにミチコに聞く。

「好きって言われたら何でも許してあげなきゃダメなんですか?」


というわけで今回は、モミジノハナ第二回公演『夏じゃなくてお前のせい』よりすでに台本にしている言葉です。

興味本位でナンパについて行ったことが一度だけあるのですが「清々しくて逆にウケる」という感情になりました。わたしを褒めてくれるのも少し自虐的に笑うのもと思えば急に男性性をアピールするのも、全てはセックスのため。一歩間違えば激烈にキモいその貪欲さは確かにこちら側のプライドを保つには有り余るほどで、「抱かれてやらんでもないかな」という気持ちになる女性がいるのもわかります。あ、「馬鹿にすんなカス」という気持ちももちろんわかりますが……

そう、馬鹿にしてんだよ!!!!!!(唐突)

タカユキには「今すぐ地味な女を抱きたい」、ミチコには「今すぐ処女を捨てたい」という目的があるわけですよね。お互い超個人的で身勝手な目的をセックスという手段で達成しようとするけれど、困ったことにセックスは一人ではできない。その大前提があまりにも抜け落ちたタカユキとミチコはまずお互いのことを非常に馬鹿にしていて。

とはいえ、利害が一致していれば勝手にやってくれやという感じなので(道徳的観点は置いておきます)、そう考えるとタカユキがミチコのことを好きになってしまったことが決定的な出来事で……より正確にいえば、好きになったことを清く・正しく・美しく捉え、それを強要していることのヤバさ

そもそも、①お互いのことを馬鹿にした状態で ②それでも利害が一致してるから 成立している関係にいきなり「好き」なんて感情を持ち込むのはテロだろ。関係ぶち壊そうとしてるとしか思えない。それでもどうにもならないくらい「好き」が止められなくて、関係を形を変えて存続させたいと思った時に「きちんと告白しよう」でなんとかなると思ってるのマジでやばくない?

自分が相手を「好き」ということはなんの免罪符にもならなければ、この「恋愛」が清く・正しく・美しいものである(になる)かどうかは相手次第であるのに、「好き」ってだけでなんか超・光の戦士みたいな顔しやがる。きちんと告白すれば、今まで馬鹿にしてたこととか大切にしてなかったこととか昇華されると思ってるんですかね。

「好きって言われたらなんでも許してあげなきゃダメなんですか?」

そんなわけねえ〜〜〜〜!!!!

これ、わたし的にはめちゃめちゃグロテスクなことだと思うのですがどうですか?「好き」のキラキラ具合にごまかされがちじゃないですか?わたしも頻繁にごまかされます。


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