秋の色は田んぼから。
第四十二侯 【禾乃登 こくものすなわちみのる】9月2日~6日 Rice ripens 『禾』は『イネ・ノギ』と読むが穀物の総称を指す。つまり、お米の収穫の時期が来たとの意味である。立春の【東風解凍 はるかぜこおりをとく】から始まった七十二侯もだいぶ進み、残り少なくなってきた。
【田んぼの検分】 田植えの後、5月末、7月末と田んぼの様子を眺めてきたが、気がついたらもう9月、稲穂も出ているのだろう、と気になり、田んぼの検分に出かけた。と言うと自分の田んぼのようだが、もちろん違う。どなたの田んぼかわからないが迷惑が掛からない様にそっと見るだけ!と車を走らせた。南へ向かい海岸よりの田園地帯。幹線道路からそれると、車も停められて、見ることが出来た。予想どうり、黄金色まではいかないが、出穂もしていて全体に黄色になっていた。
根元を見ると、まだ水はたたえられていたので、稲刈りはもう少し先になるのだろう。今月末か来月初め頃だろうか、と想像した。
【水田と大豆畑が隣り合わせ】 仙台から北に向かうと宮城の米どころ、大崎平野が広がっている。ちょうど東北自動車道を進むと見えてくる。近年は大規模区画化が進んで、大きな長方形の水田が整然と並んでいる。以前お客様を平泉にご案内する途中、しばらく田園地帯が続くので、お米の話を始めると、『どこからどこまでが自分の田んぼかどうかをどうやって見分けるのか?』と質問されしどろもどろになったことがあった。いずれにしても東北にいらっしゃるゲストにお米の話は必ず出てくるので一応研究(?)は怠るわけにはいかない。
今回向かったのは大規模な水田地帯ではなく、市内の田んぼであった。ふと気がつくと田んぼと畑が隣り合わせになっている。黄色の田んぼに対して、隣は濃い緑の葉がワサワサと繁った大豆畑だった。
5月末に刈取り直前の麦畑を見に行ったが、その向こうは水田だったことを思い出した。麦を刈り取った後は大豆を植えるとのこと。そうだ、仙台の南部は『宮城シロメ』という大豆の産地だった。納豆や豆腐などに加工される。大豆と言うと日本はほとんどが輸入に頼っているのだが、宮城県は北海道に次ぐ大豆王国、麦王国なのである。とは言っても生産高にかなりの差はある。やっと謎が解けた、麦畑と大豆畑は同じ畑だったのである。こんなことに感心しているのは私だけかもしれないが、少し学習した気分で嬉しかった。
秋も深まり朝晩の冷え込む頃になると、大豆の緑の葉が落ちて茶色の豆の殻が見えてくる。根こそぎ引き抜いて乾燥させ脱穀すると丸くて白い大豆が現れるのだ。又その頃、いや、その前に稲刈りの頃も来てみたい。広々した田んぼを眺めるのは癒される。それまで台風の被害が無いように祈るだけである。
【五穀】 『五穀豊穣』と言われるが、五穀とは何の作物かと言うと、『米』『大豆』『麦』『粟』『黍または稗』を指すようだ。昔、よく冷害に見舞われた東北地方、特に岩手などでは雑穀が栽培されていた。数年前から雑穀ブームが到来して、五穀米、十六穀米、加えて古代米なども見直されてまた栽培が復活しているようだ。白米に混ぜ込んで炊くような少量パックが売られている。
【エノコログサ】 大豆畑の検分をしていたら、その端にフサフサと豊かな穂を付けたエノコログサが繁茂していた。いわゆる,猫じゃらしである。(写真の大豆畑の手前が猫じゃらし)
まるで穀物の様!畑の真ん中でスマホで調べると、なんと猫じゃらしは『粟』の原種とあって驚いた。乾燥させて脱穀すれば食べられるのであろうか。そこまで実験してみる時間はないので、noteの記事で探してみよう。
はからずも同じ場所で、米、大豆、そして粟の原種まで見たことになる。食べる専門の私は平和なことを言っているが、実際米作りと言うのは本当に大変なことなのである。田植え、稲刈りの時期一つをとっても、慎重にならないと収穫量に差がつくし、グレードの低いお米になってしまうそうだ。夏の除草、その始末,病気の予防、水の管理、その上収獲前に台風が来ると大打撃を被る。 ご飯を残すと『お百姓さんが一生懸命作ったお米を粗末にしてはダメ』と言われたものだが、いまこの年になってようやく実感している。
【野菜の整理を兼ねた雑穀入りスープ】
無理に合わせた訳ではなく、肌寒い日が続いていたので温かいスープを作ろうと思っていたところ、途中で思いついて雑穀を加えてみた。とろみを出すためと食事代りになるように冷やごはんをスープに加えることはあったが、雑穀は初めて。野菜が煮えてからと後から加えたら、これがなかなか火の通りが悪く蒸らしたりして試行錯誤した。雑穀は、もち麦、押麦、燕麦、キビ、粟、ひえ、黒米、発芽玄米その他が入っている小さな袋入りのものを使った。 試作品なので今日は写真のみで。 またまた飛躍してしまったが、今日はこの辺で。風邪など引かれませんように。
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