営業を全くしないのに仕事がどんどん入ってくるワケ

その理由がやっと分かった。

 夫は小さな会社の経営をしている。
いつもいーっつも忙しい。営業は全くしないけれど仕事がどんどん入ってくる。
日曜日も祝日もなしの毎日。

「また仕事が入ったー…」
少し物悲しそうに呟く。
本心は、有り難いけどまた休めない、そんな感じかな。

 どうしてそうバンバン仕事が入るのか、分からずにいたけれど、事務所で取引先のお客さんと夫の会話を聞いていたら、その理由が分かった。

 お客さん「知り合いのAさんが、仕事を頼まれたけど、自分じゃ受けられないからどこか受けてくれるところ探して欲しいって言うんですよ」

夫「え、どんな仕事?だれかに聞いてみたんですか?」

お客さん「あー、Bさんに聞いてみたけど、断られたんですよね。他に頼めるようなところないし、どうしたらいいか。困ってるんですよ…」

 この後夫は、詳しい仕事内容を聞き、少し渋りながらではあったが、段取りをつけ、仕事を引き受けることにした。
お客さんは「肩の荷が降りた」と、スッキリした顔をして、そして、こんな言葉を残して帰って行った。
「仕事があるところと、ないところの差って、こういうところなんでしょうね」と。

なるほど、そこだったんだ。

もちろん、いつも仕事でいっぱいいっぱいの夫なので、引き受けるといってもそう簡単なことではない。
まして、他の人が嫌がるような仕事の量、難しさがある。それを段取りをつけて、自分一人ではできないので、周りの人にも協力をお願いし頼み込まないといけない。多少のリスクも背負うことになる。

それでも困っている人がいたら、力になってあげようと自分の持っている力を精一杯使う。自分の都合より相手の都合を優先して仕事をする。

だから、何かと頼りにされるし、なんとなく駆け込み寺みたいになっていて、納期がギリギリだとか、技術がないと難しいとか、そういう人がしたがらない仕事がいつも舞い込んでくる。

というわけで、営業を全くしないのに仕事が絶えない。

もちろん休みはほとんどない。
子供たちを連れてどこかに遊びに行ったのも、数えるほど。(子供は今年で20歳))

仕事や収入がある代わりに、犠牲にしていることもたくさんある。

そこは価値観の問題で、そんなことしてまで仕事したくない人もたくさんいるはずだ。
何が一番大切なのかは人それぞれ。


夫の場合は、稼ぎが少ないことで家族(特に子供たち)が何かを諦めたり、惨めな思いになったりすることがないように、という思いが強かったに違いない。

一生懸命に仕事をしていたら、いつの間にかこういうスタイルになってしまったようだ。

ちなみに、夫にとって子供たちと過ごせないことがストレスにはなっていない。むしろ、1人で好きなアーティストのライブに行ったり、友人と飲みに行くほうが楽しいようだ。
一昨年は友人と海外旅行にも行っていた(ちょっと愚痴)

逆にそういう人じゃないと、できないのかもしれない。

少なくとも今のところは、子供たちが望んだ進路に制限をかけなくてもいい程度に稼いでくれている。
つまり、夫の思うところは実現できていることになる。

一方で、そんな夫に対する家族の反応はまた、別の機会に…。


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