読書:データ・ドリブン・マーケティング その5(投資リターン)
第5章 投資リターンを示せ!
経営陣の信頼を勝ち取るために役立つ4つの財務系指標とは。
⑥利益
必須の財務系マーケティング指標
利益=売上高-費用
売上を上げても経費が勝り、結果利益がないというケースは珍しくない。
売上高も大事だが、利益を最大化していくマーケティングが重要。
⑦正味現在価値(NPV)
先ずは現在価値(PV)から。
1ドルを1年間投資して、期待リターンr(収益率)が得られるとする。
1年後の1ドルの価値は、1×(1+r)。
つまり、現在の1ドルの価値は1/(1+r)。
では、とある賞金を、
10年間、毎年10万ドル受け取った場合と
今、52万ドル受取る場合と
どちらが自分にとって良い選択だろうか?
先ず、10年間、毎年10万ドル受け取った場合の現在価値は以下の式で計算できる、
rは収益率で、例えば10%と仮定すると、現在価値は61万4457ドルとなる。
こうすれば、分割で受け取る場合と一括で受取る場合を数字で比較して意思決定ができるようになる。
ここからが、正味現在価値。
正味現在価値(NPV)=PV(現在価値)-費用
正味現在価値は、マーケティング活動によってもたらされた現在価値からマーケティング活動でかかる費用を引いたもの。
実際のマーケティングは不空数機関にわたって行われるため、n期間のマーケティング活動を行った場合の正味現在価値は以下の式で表現される。
単純に言うと、NPVがプラスのマーケティング活動なら投資を実行し、マイナスなら否決する、といった意思決定ができる。
⑧内部収益率
内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)とは、キャンペーンや施策を実施する場合の投資利回り。
計算するには、上記のNPVの式で、NPV=0になるrを導けばOK。
IRRを使った意思決定では、IRRと割引率rを比較してIRR>rであれば投資を実行、IRR<rであれば投資を却下とするのが原則。
⑨投資回収期間
投資回収期間とは、投じた累計支出と同額の累計利益を稼ぐまでにかかる期間。
マーケティング投資収益率(ROMI)まとめ
ROMIは、NPV、IRR、投資回収期間の3つの指標でみる。
・NPVとは、各期において収入から支出を差し引いた利益を、お金の時間価値を反映させるために割引き、足し上げたもの。
・IRRとは、キャンペーンによって企業内でお金が増幅していく度合を表した率。
・投資回収期間とは、キャンペーンに費やしたのと同額のお金が収入で帰ってくるのにかかる期間。
NPV>0およびIRR>rが投資すべき、NPV<0およびIRR<rが投資すべきでない。
投資回収期間が短いのはいいこと。
マーケティング投資収益率のフレームワーク
①事業環境分析
市場調査や分析を通じ、既存事業に関する理解を深めるとともに、新たなマーケティング・キャンペーンや新製品がもたらしえる効果を把握する。
②ベースケース
既存のマーケティングや商品を継続した場合の売上、費用およびキャッシュフローを推定する。
③費用
新たなマーケティング・キャンペーンや新製品にかかるすべての費用を把握する。発売前マーケティング、顧客コミュニケーション費用、新製品開発費、発売後の継続的なマーケティングや顧客サポート費用、メンテナンス費用など。
④アップサイド
新たなマーケティング施策や新製品を導入することによって得られる売上増分を把握する。
⑤ROMI計測
増分キャッシュフロー(アップサイドからベースケースを引き算したもの)を使ってNPV、IRR、投資回収期間を算出する。
⑥感度分析
各種推定の前提条件を変更することで最良、最悪、普通シナリオを作成し、各種指標の変化度合を把握する。
①~⑥に沿ってマーケティング施策を設計していけばOK。
と言っても、分かりにくいので、著者が提供しているテンプレを使って架空のマーケティング施策を作ってみるといいかも。
書籍は、
Data-Driven Marketing
Mark Jeffery 著
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