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024 6次産業の戦い方 /こんな学校あったらいいのに

私立大学の観光学部が、千葉県鴨川市から撤退します。

撤退あとは、どうなるんだろうか。

そこに、地域活性化に貢献する、こんな学校ができたらいいのにという妄想です。

引き続き、地域活性化を学ぶためのテーマを考えていきます。

6次産業化とはなんぞや

1次産業である農林水産業では、自然から得られた農産物や水産物を市場に送り出すことが基本です。

JAを通じてであったり、卸売市場を通じてであったり。

農産物や水産物そのものの価値で、マーケットで売られていきます。

しかし近年では、1次産業である農林水産業に従事する人が、自ら食品加工(2次産業)を手掛け、さらには生活者への販売(3次産業)も担うことで、付加価値をあげていくことが、

1次産業 × 2次産業 × 3次産業 = 6次産業

と呼ばれています。

ここで重要なことは、1次産業の価値をどのように生活者に届けるかということだと思います。

その視点で、6次産業化を整理してみます。

彦根藩も奨励した行商

1次産業の価値をどのように届けるかという点では、古くから行商という形態がありました。

産地から直接、生活者のもとへと運んで販売するものです。

大老 井伊直弼の名前は、学校でも習ったのでよく覚えています。

しかし、井伊家が治めていたのが彦根藩であることを覚えている人は、案外少ないのでは。

その彦根藩では、士農工商の制度の中でそれまでは禁じられていた商行為を農民に許すことで、農民が行商を行うようになりました。

五個荘、豊郷、愛知川といった土地で生まれた湖東商人と呼ばれる人々であり、三方よしで有名な近江商人の一つです。

行商という形態は、その後もずっと続いてきました。

ボクが子どものころも、行商のおばさんがボクの実家に寄ってくれていました。

東京に行商で回った帰りに立ち寄って、ボクの家で必要そうなものは残して持ってきてくれていたのです。

そうした行商の人たちが乗る専用列車というのもありました。

行商は、産品を直接販売の一形態ですが、他にもあります。

地域の農家が持ち寄る直売所も人気です。

自動車で移動することがあたり前の時代になって、近所の人だけでなく、遠くからも買い出しにくるようになっています。

インターネットによる情報発信が盛んになり、SNSなどを通じた情報で取り寄せることも普通になっています。

漁業でも、取れたての新鮮な魚介類を、直接届けるビジネスも進んでいます。

生産者と生活者が情報で直接つながることで、食品加工という2次産業を介さなくても、
『1次産業 × 3次産業』
によって、1次産業の付加価値を上げています。

そこで大切なことは、生活者が生産者の『物語』を知ることです。

そうすることで、生活者が新たな付加価値に気付いてくれるのです。


素材の魅力を展開する

『1次産業 × 3次産業』によって、生活者と生産者が直接つながる仕組みができたことで、新たな可能性も広がっています。

農産加工そのものは、これまでも進化を続けてきています。

素材の持つ魅力を、農産加工によってバリエーションを増やして生活者に届けることができます。

『1次産業 × 3次産業』の仕組みに、農産加工という2次産業の付加価値を加えて届けているのです。

食品を加工するというのは、そもそもは生鮮食品を保存したり、貯蔵したりするためでした。

野菜などを生活者に直接販売する際に、キズものなどは売り物になりません。

しかし食品加工を行っていれば、キズモノでも保存のきくジャムやジュースなどの生産にまわすことができます。

廃棄を減らすということでも、付加価値を高めることができるのです。


より生活者に近く

農産物や水産物を直接販売するという3次産業だけでなく、農産物や水産物を調理して提供する3次産業もあります。

フードツーリズムは、たとえば農家がレストランや民宿を開き、そこで採れたての野菜を調理して提供したり、一緒に調理することで調理方法を伝えたりしています。

少し前にテレビドラマになっていた高校生レストラン。

これも、その土地のものを調理して提供するという面では、高校生が農産物や水産物の付加価値を高めています。

フードツーリズムは、遠方から足を運んでもらうというインバウンドが前提です。

いっぽうで、キッチンカーを使えば、レストランそのものが生活者のそばへと行くことができます。

生活者と生産者の距離は、どんどん近付いています。


知識集約型の産業へ

生活者に近付くということは、生活者に付加価値を感じてもらう必要があります。

そのためには、生活者がなにを求めているのか、なにに価値を感じてくれるのかといったマーケティングの考えが重要になってきます。

『1次産業 × 2次産業 × 3次産業』を通じて得た経験と知識を武器に、さらに新たな可能性に挑戦するビジネス、それが6次産業化です。

どこぞで見たことがあるようなものでは、他の地域との差別化は難しくなります。

6次産業化というのは、結局は地域の食文化を再認識し、その食文化を素材とともに味わってもらうということなのだと思います。



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あおい しんご
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。