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016 あえて『100年先』にこだわる /こんな学校あったらいいのに

城西国際大学の観光学部が、千葉県鴨川市から撤退します。

撤退あとは、どうなるんだろうか。

そこに、地域活性化に貢献する、こんな学校ができたらいいのにという妄想です。



1920年代の日本と世界

いまから100年前、1920年代の日本はどんなだっただろう。

1920年は、大正9年となり、大正デモクラシーという大きな流れの中に位置します。

そう、小学校の歴史で学びました。

そうし動きが1925年の普通選挙法公布、そして1928年の衆議院議員選挙が初の普通選挙として実施されました。

そう、試験のために年号を覚えた気がします。たぶん。

普通選挙とはいいながらも、成年女子には選挙権がなく、成年女子も選挙権を持つには1945年までかかったわけですが。

そう、平塚らいてうや市川房枝が婦人参政権のために活動したことを、教科書で習いました。

いっぽうで1923年には関東大震災が起き、首都は壊滅的なダメージを受けました。

そこから立ち直る中で、1925年にはNHKラジオが開始し、1927年には浅草-上野で地下鉄が開通しました。

国民が政治に関わる仕組みの基礎、国民が速報として情報を得る仕組みの基礎、そして国民が集中する都市化における移動の仕組みの基礎といったものが、この時期にスタートしているのです。


世界に目を向けると、少し前の1918年にスペイン風邪の大流行がありました。第一次世界大戦で米国が欧州戦線に参加する中で、兵士の大量移動によって、米国から世界的に蔓延したものです。

そして第一次世界大戦が終わった後の混乱の中で、1921年にヒトラーがナチス党首となりました。第二次世界大戦へと続く大きな歴史の流れの一端が、そこにあったのです。

いっぽうで、第一次世界大戦の特需で繁栄を謳歌していた米国では、新技術を活用した自動車、冷蔵庫、洗濯機などが普及し、現代の人々の生活になくてはならないものを大量生産で普及させる仕組みができたころです。

1927年には、リンドバーグが大西洋単独無着陸飛行に成功し、空を飛ぶことで世界を移動する時代の幕開けとなっています。

スペイン風邪によりグローバルに人々が動くことによる影響を知るとともに、さらに速くグローバルに移動する仕組みもできつつありました。

そして今ではあたり前と思われている政治の仕組み、情報技術、都市化への対応といったものが普及し始めたのが、今から100年前の時代だったのです。


100年先の地域のために

そして2020年代。

新型コロナによる世界的なパンデミックが起きたことは、ちょうど100年前を思わせます。

当時は第一次世界大戦による人の移動にる感染拡大でしたが、今回は1990年代から始まったグローバリゼーションによる活発な人の移動が大きく影響しました。

Withコロナ、Afterコロナでの混乱に対して、人間がどれだけスマートに対応できるか、それがこれからの数十年を大きく左右するように思います。

これまでの100年と、これからの100年を考えた時、大きく変化することが考えられます。

まずはITの進化。

紙媒体で情報が伝えられるだけだったところから、電話や電信での情報伝達が進んでいきました。

しかしあくまでアナログの世界でしかありませんでした。

この四半世紀でインターネットが世界中をつなぎ、コンピュータでしかできなかったことが、いつのまにかスマートフォンの中にその多くの機能を持てるようになりました。

人はどこにいても、どこへでもデジタルにつながることができる時代です。

この大変化は、人と人とのコミュニケーションだけでなく、社会の仕組みそのものを大きく変えていきます。

次にエネルギーや資源に対する考え方の進化。

これまでの100年は、石炭や石油など化石燃料の世紀でした。

長い年月をかけて地球の中に蓄積されてきたエネルギー源を、とにかく大量消費する時代だったのです。

そのおかげで、人間社会は急速に発展し、人々の生活が豊かになったことは確かです。

しかしいっぽうで、地球環境に対する負荷をかけ続けてきたことも確かなのです。

化石燃料の燃焼後に大気中へ放出される二酸化炭素の問題だけでなく、プラスチック製品が廃棄されて生じているマイクロプラスチックの問題などもそうです。

再生可能エネルギーの活用や資源リサイクルの徹底などは、この四半世紀で大きく進んできています。

加えて、省エネルギーや省資源の技術も進んでいます。断熱材などを有効に活用して、少ないエネルギーで快適な住環境を維持する技術。リサイクルのプロセスを社会として構築するとともに、収集したものから再利用できる形で資源を回収する技術。それらを発展させてきています。

そして集中と分散のバランスにおける進化。

これまでの100年は、集中による効率化を徹底的に追及してきていました。

人々は都市に集中し、ビジネスを効率的に運営してきています。

大規模工場や大規模発電所を建設し、効率的な生産や発電を行ってきました。

しかしいっぽうで、集中によるデメリットも見えてきました。

都市への集中、特に東京圏への一極集中により、「その他」の地域が活力を失いました。特に地方圏と呼ばれる数万人のレベルの自治体の経済衰退が加速しています。

また、これまでは人が密集することで効率的な社会を作ってきたのですが、新型コロナの感染拡大でも分かったように、適度な社会的距離を取れることも重要です。

地震、台風、豪雨など大規模な自然災害が必ず起きる日本において、集中した工場生産や発電では、いったん被害を受けた時の影響が甚大で、回復にも時間がかかります。そのため、再生可能エネルギーを組み合わせた分散型エネルギーネットワークの仕組みも重要になっています。

これからは、都市と地方のバランスを取りながら、分散ネットワークの強みもいかしていくことが求められます。


『100年先』のミライに向けて、2020年代はとても重要なポイントになってくるはずです。

100年先の社会のために、100年先の地域のために、そして100年先の子どもたちのために、いま、なにができるのか。

そのことを考える力を身につける学校があったっていいのでは。

そのために学ぶテーマを考えていきたいと思います。

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あおい しんご
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。