010 フトイ循環とホソイ循環の差は
循環図の左上に『地域経済循環率』という数字が記載されていました。
鴨川市で地域経済循環率が82.5%となっているのは、支出に回った1,232億円のうち、1,017億円、つまり82.5%が地域内へ循環しているということを示しています。
フトイ市とホソイ市という仮想の街で、地域経済循環率の意味を考えてみます。
フトイ市では、Aさんが10,000円の収入のうち、8,000円を地域のお店で支出し、残りの2,000円を地域の外のお店で支出したとするとします。
次に地域のお店に勤めているBさんが収入の8,000円のうち6,400円を地域のお店で支出したとします。
そして地域のお店に勤めているCさんが収入の6,400円の80%を地域のお店で支出したとします。
このように80%を地域内で支出することをどんどんと繰り返していくと、最初にAさんが支出した10,000円に対して、
10,000円+8,000円+6,400円+5,100円+・・・というように地域内での収入が循環して、
総額では約50,000円の循環になります。
つまり最初の支出に対して約5倍のお金が地域に流れることとまります。
こうして地域内を流れるお金が掛け算で増えていくことを『乗数効果』と呼びます。
ホソイ市では、Xさんが10,000円の収入のうち、2,000円しか地域のお店では支出せず、残りの8,000円は地域の外のお店で支出したとするとします。
次に地域のお店に勤めているYさんが収入の2,000円のうち400円を地域のお店で支出したとします。
そして地域のお店に勤めているZさんが収入の400円の20%を地域のお店で支出したとします。
このように20%を地域内で支出することをどんどんと繰り返していくと、最初にXさんが支出した10,000円に対して、
10,000円+2,000円+400円+80円+・・・というように地域内での収入が循環してはいきますが、
総額では約12,500円の循環になります。
つまり最初の支出に対して約1.25倍のお金しか地域に流れないのです。
地域の中でお金を循環させることが、どれほど大切なことなのか、この差を見ると理解できます。
さきほどの80%や20%というのは、『地域内循環率』と呼ばれます。循環図にある『地域経済循環率』にあたる数値です。
地域内循環率が高いほど地域経済の自立度が高く、地域内循環率が低いほど地域経済の自立度が低くなります。
これらは、イギリスのNew Economics Foundationという組織が提唱している「漏れバケツ理論」と、「地域内乗数効果」という考え方をもとにしています。
地域の経済を活性化するために、この地域経済循環率をいかに高められるか。
これが、大きな鍵になってきます。
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