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004 仕事がなくなった島
少し、極端な例を話します。
軍艦島。
世界文化遺産にも登録されたので、その名を聞いたこともあるかと思います。
長崎市の沖にある端島という無人島ですが、外観が軍艦にも似ていることから、その名がついています。
そもそも、なぜ世界文化遺産に登録されたんでしたっけ?
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の歴史を遺す資産の一つとして、軍艦島は登録されています。
ここは、炭鉱の街というか、海底にある石炭を掘り出すための炭鉱の島でした。
明治、大正、昭和の日本経済を支えた炭鉱の一つだったのです。
福岡県と熊本県の県境にまたがる三池炭鉱。
北海道の夕張炭鉱。
そうした炭鉱の街と同じように、世の中が石炭の時代から石油の時代へと移り変わるとともに、炭鉱はその役目を終えていきました。
つまりは、世の中のニーズが変化して、その街の産業がなくなってしまったのです。
三池炭鉱のあった福岡県大牟田市は、炭鉱が1997年に閉山となったあとも、街に人々は住み続けています。
夕張炭鉱のあった北海道夕張市も、炭鉱が1977年に閉山となったあとも、、街に人々は住み続けています。
大牟田市では、その後も三井化学の大牟田工場が操業していました。
夕張市では、夕張メロンを中心とした農業や食品加工業などの産業を続けていました。
しかし軍艦島は、1974年に炭鉱が閉山となり、すべての住民がいなくなったのです。そして無人島となりました。
最盛期の1960年代には5,000人以上の住民がいて、小中学校や病院だけでなく、映画館やパチンコ店もあったそうです。
その軍艦島から、一人残らず住民がいなくなってしまったのです。
他の炭坑の街のように違う産業で生計を立てるということができないため、街に人が住み続けるということはありませんでした。
このことが伝えてくれているように、仕事があるから、その土地に人は定着します。仕事がなくなれば、人はその土地から離れていきます。
極端な事例として、軍艦島はそのことを教えてくれています。
地域に仕事がなくなれば、地域の経済は小さくなり、そして地域に誰もいなくなれば経済はゼロになってしまいます。
地域が持続可能であるためには、継続的に仕事を生み出す力を持つことが必要なのです。
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