ワンオブゼムの湯治の果て
東京の、雑踏の中に埋もれてしまいたいと思ったことがあります。
銀行に立ち寄った時、近所の温泉で裸になった時、「もしかして、もめさん?」と、知らないおばさんらに声を掛けられることもあり、私が知らない人も私を知っているのかもしれないと思うようになった。
自然の木々に囲まれる生活が長くなり、身なりも馴染んできた。髪は黒色、衣服はアースカラー、化粧はしない。だけどある時、全部ひっぺがして、自分のイメージ変えたくなって、金髪にした。人生初。
東京には金髪がいっぱいいた。金髪くらいで何も目立ちゃしなかった。そして誰も私のことなんて知らなかった。埋もれて誰にも見つけられないことで安心した。
ワンオブゼムの湯治の果て、また、誰かに見つけてもらいたいと思ってしまっています。