![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82978138/rectangle_large_type_2_47a1931c6e78daa666eec966b891155a.jpeg?width=1200)
未来は彼の手の中に〜拳王VS小島聡
トップ画像は@shun064さんの作品です。
7.16プロレスリング・ノアの日本武道館大会。大トリを飾ったのはGHCヘビー級王者小島聡と挑戦者拳王による闘いでした。この試合で拳王に求められていたこと(彼が目指していたこと)は唯一つ。それは小島聡に勝利すること。その一点でした。GHCへビーを戴冠して以降の小島は、静かなる侵略者としてノアを制圧していきました。
この試合自体はいわゆる「きれいな試合」とは言い難い内容でした。攻守がスムーズに入れ替わり。アップテンポで華麗な攻防をする。そうした試合が高評価である。その価値観で評価すればこの試合の評価は決して高くないかもしれません。ではこの試合の評価は低いのか?そうではありません。この試合の価値は「無骨なまでの体の痛めつけ合い」にありました。
拳王の多彩な蹴り。それを避けずに正面から受け切る小島。小島のエルボーやチョップを耐える拳王。勝利をおさめることがこの試合の最大の価値であるにも関わらず。両者は相手の技を徹底的に受けていました。特に小島は守勢に回る機会が多かったにも関わらず。それは小島の「王者であるならば相手から逃げない」という王者としての誇りがゆえだったのかもしれません。
もちろん耐える姿以外でも。耐えきった後に小島は攻撃に移行します。盟友天山の名を叫んでのモンゴリアンチョップ。雪崩式のコジコジカッターなど勝負どころで大技を連発。このあたりは小島のベテランとして味でしょう。
しかし拳王もただでは倒れません。ハイキックで小島をダウンさせると胴締めスリーパーホールドでギブアップを狙いました。これは小島が耐えますが、拳王は必殺のPFS(パーフェクトフットスタンプ)連発で勝負に出ました。テンポよく連発した拳王でしたが、二発目は小島がかわし。ついに小島のウエスタンラリアットが拳王に直撃します。
小島はすぐにフォールにはいけませんでしたが、垂直落下式ブレーンバスターで拳王をマットに突き刺します。そしてウエスタンラリアットを狙いますが、拳王はハイキックで小島を迎撃。チャンスとみるや再びのPFS。これでもフォールを奪えないとみるや拳王は再度トップロープに登り。ムーンサルト式のダブルニーアタックを小島に見舞います。これには小島も耐えきれず。ついに拳王が小島から至宝奪還に成功しました。相手の技をこれでもかと受けきりそれでも立ち上がる。無骨かつ原始的な。試合というよりも闘いの匂いが強い。そんな死闘でした。
拳王がGHCヘビーに戴冠したのはあの時以来。そう「てめえらクソヤローども日本武道館へ連れてってやる」と叫んだあの王者時代以来です。あれから凄まじいスピードでノアは再興し、日本武道館に戻ってきました。言葉通り拳王はノアファンを日本武道館に連れてきた。
しかし一方で拳王のもう一つの夢である「日本武道館メインで一番最後に登場すること」。これはまだ果たされていません。いみじくも小島は「団体を潤すのは王者の仕事だ」ということを己の身を持ってノアに伝えました。日本武道館大会のメインに王者として立つ。それは団体の命運を握ることを意味します。試合後のリング上で「(観客席を見つめて)ノアはこんなもんじゃないよな!」と力強く叫んだ拳王はきっとそれを理解しているでしょう。拳王なら必ずノアを前に進めてくれる。ノアの未来は今まさに彼の手に託されたのです。
この試合の動画はこちらから