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N-1 VICTORY2022【DAY8】清宮海斗VS小島聡〜perfect timing〜

※トップ画像はWRESTLE UNIVERSEのキャプチャです。

小島聡がなぜ清宮海斗のシャイニングウィザード4連発で沈まなかったのか?N-1 VICTORYのリーグ戦最終戦。この試合に勝てばBブロック制覇の決まる清宮。一方勝ってもその先の道が絶たれている小島。勝利の先に道が拓ける清宮が粘るのは理解できます。しかしこの日、試合終盤必死に粘ったのは小島でした。

清宮にラリアットをブロックされ。ドラゴンスクリューからの足四の字固めを受けて。さらにそこからシャイニングウィザード4連発。小島はそれでも立ち上がり5連発を狙い走り込む清宮に反撃のウエスタン・ラリアットを放ちました。さらに追撃のラリアットを撃つ小島。これを清宮は両腕でブロック。しかし小島は返す刀の左のラリアットを撃つ。そこから小島は垂直落下式ブレーンバスター。フィニュッシュへの前奏を奏でます。試合を決めようとして右腕を振りかざす小島。これに対して清宮が選択したのはフランケンシュタイナーでした。清宮はそこからすぐに立ち上がり渾身のシャイニングウィザードを小島に命中させます。これには小島も耐えきれず3カウント。清宮が勝利し、N-1 VICTORYの優勝決定戦へ駒を進めることとなりました。

武藤の技を使い始めた清宮への評価。それは決して華々しくモノばかりではありませんでした。武藤の技を使うことが先になり組み立てが乱れる。武藤のコピーを目指すのか?それらの意見を清宮がこの日の勝利で力づくで封じ込められたか?それはまだ言い切れません。しかし封じ込めるきっかけはつかめたと私は感じます。

小島は相手の技を徹底して受け切る選手です。いわゆる格闘技的なバックボーンを活かすタイプではなく。古い言葉で言えば純プロレスの選手と言えるでしょう。相手の技を受け切る選手を崩すには?相手より強大な力なり破壊力のある武器が必要でしょう。しかし清宮にはそうしたモノは持っていません。超人的な体格も。格闘技的なバックボーンも持たない。それはある意味武藤とは対極の存在と言えるかもしれません。

私が考える清宮の武器は知性です。試合の流れを読み適切な技(武器)を選択する力ですね。それは論理性と言い換えることもできるでしょう。派手な技を持たず論理に沿った試合で未だに現役で活躍する小川良成イズム。そこに手札として三種の神器が増えた。それがいまの清宮の状態です。

清宮の繰り出した試合終盤のシャイニングウィザード4連発は派手ではありますが、武器を振り回して力で勝利を狙った形です。相手が比較的近い体格。もしくは攻撃型の選手であればそれでも説得力はあります。しかし小島はそうではありません。シャイニングウィザード4連発にはラリアットで返した小島。思えば一連の流れのきっかけも「ラリアットをブロックしたこと」でした。「お前の武器は本当にそれなのか?」「それじゃあお前は俺に勝てないぞ!」。ここで負けたら清宮のためにならない。そんな小島の声が聞こえたような小島の粘りでした。

フィニュッシュを狙う小島に対して。清宮の頭脳が出した答えはフランケンシュタイナーでした。そしてそこから即座に繰り出したシャイニングウィザード。この流れを返せなかった小島にはもしかすると。「そうだよ」「お前はちゃんと自分の武器をわかってるじゃないか」「それでいいんだよ」。そん意図があったのかもしれません。

新たな武器を得た清宮がそれに振り回される前に。受け切るスタイルで時代を築いた小島と出会った。そして小島がその力を未だに保っていた。そうした意味で両者の邂逅は完璧なタイミングだったと言えるでしょう。


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