エッセイ「モーンガータを渡って」
2024年2月8日、夕
仕事帰りに笑顔になる出来事があった。横断歩道が綺麗に塗り替えられていたのだ。作業が始まったのは今から約2週間前のこと。たった1日でアスファルトが滑らかに塗り直され、その上に白い線が引かれた。しかしおかしなことに枠しかない。艶のある地面の上に額縁のような白い枠が均等に並んでいるだけである。私は困惑した。もちろんまだ作業の途中段階なのだろうと思ったが、もしもこれが完成形だとしたら。緊張で身体が強張るのを感じる。もしや不況の波がここまで来てしまったのだろう