~産後ケアでママを笑顔に~ 医師・助産師からのメッセージ
皆さま、こんにちは。
「マームガーデン葉山(Mom Garden HAYAMA)」の支配人をしている斎藤睦美(さいとうむつみ)と申します。
私たちが始めた産後ケアホテル「マームガーデン」は、出産後のママが身体と心を休める施設です。産後の過ごし方は、昔から「床上げ(とこあげ)」という言葉で表現されてきました。産後約1~2カ月は、体を回復させ日常の生活に徐々に復帰する大事な時期といわれています。
そこで、産後ケアの必要性と専用ホテルの利点について、専門家の先生3人にお話を伺いました。
医師・助産師からのメッセージ
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日本周産期メンタルヘルス学会評議員広尾レディース 院長 宗田 聡 先生
Profile:
20年以上の産婦人科臨床経験を生かし、産科婦人科診療のみならず、心理カウンセリングなど女性のトータルヘルスを支える外来を行っている。『産後ママの心と体をケアする本』(日東書院本社)、『これからはじまる周産期メンタルヘルス』(南山堂)など著書多数。
産後1~2カ月は心身の回復期休息を取って産後うつ予防を
産後1〜2カ月のお母さんは心身ともに大きなダメージを受けており、この時期に無理をして急いで妊娠前の日常生活に戻ってしまうと、睡眠不足や疲労が蓄積され、身体の不調や心の疲れが起こる可能性があります。ですから、産後は育児と日常生活を同時に始めるのではなく、心身を労わり回復させながら、徐々に身の回りのできる範囲を広げていくのが大事です。
そして、気を付けなければいけないのが産後うつです。産後うつは母親の約10人に1人が発症するといわれており、誰にでも起こりうる病気です。特に、妊娠前からメンタルの持病がある人、周囲の協力や経済的な余裕がなくストレスを抱えている人、几帳面で何でも完璧にこなそうとする性格の人は、産後うつになりやすいと言われています。そうならないためにも、日常生活から離れてゆっくりできる時間を持つようにすると、発症をある程度防ぐことにつながります。軽度の産後うつであれば自然に治ることも少なくありません。
自宅で新生児と24時間一緒にいる環境は休まる時間がなく、お母さんはストレスフルな状況に陥りがちです。産後ケアホテルのような施設を利用することは、医学的な見地からも理に適っているといえます。日本にはこのような産後ケア施設がまだ少ないので、もっと全国に増えて、赤ちゃん抱えるお母さんたちが気軽に利用できるようになると良いですね。
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杏林大学保健学部看護学科
助産師課程准教授 加藤 千晶 先生
Profile:
助産師として大学病院で勤務する傍ら、自身も妊娠・出産・育児を経験。その後、大学で看護師・助産師教育に携わり、女性と赤ちゃんの健康を研究。2009年からは看護部長として2500件/年以上の出産に携わる。2015年から杏林大学保健学部看護学科にて助産師課程准教授。
産後ケアホテルで体と心を整えて
楽しい子育てのスタートを
立ち合い出産や両親学級、男性の育休取得推進など、日本の出産・子育ての状況は、より夫婦で協力する形に変化してきました。一方で出産の高齢化や人間関係の希薄化など、産後の女性が孤立を深める要因も増えています。
昨今の感染症の影響もあり、産後の入院期間が以前よりも短くなっている状況で、産後ケアは最優先課題です。母親自身の体力が回復しないと、子どもを大切にしようという気持ちが湧いてこないからです。母親になりたての女性にとって、休息がとれ、専門家の手を借りられる環境は、必要不可欠。専門家に「がんばってるね」「上手だね」と声を掛けてもらえると母親としての自信が芽生え、心のケアにもつながります。また父親も妻子を支えるためには、心の余裕が必要です。父親が赤ちゃんに接して学ぶ場としても、産後ケア施設の役割は大きいです。
産後ケアホテルは、行政運営の施設とは違い、希望するだけ滞在できるのがメリットです。さまざまなサービスの中から必要なものをチョイスできるので、自分のペースで過ごせるのも魅力です。出産で力を出し尽くしたママたちが、心と体を整え、自宅での育児へと向かう橋渡しの施設として、産後ケアホテルは必要不可欠な場所になっていくと思います。
「子育ては楽しく楽(らく)であれ」と思います。子育てを楽しく、楽におこなってほしいということと、楽しく子育てしていれば、大変なことも苦にはならず楽にできるという意味です。多くのお母さんが産後ケアホテルを利用し、楽しい子育てがスタートできることを願っています。
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マームガーデンアドバイザー
助産師 浅井 貴子 先生
Profile:
新生児訪問指導歴は約20年。年間約400件の新生児訪問を行い、産褥期の母親を支えている。助産師のメディカル知識を生かし、妊活セミナーでの講演やマタニティー雑誌の記事監修など、多方面で活躍。妊婦水泳&マタニティーアクアビクスの専門家としても活動。
ニーズが高まる産後ケア施設で
ママが自立するための伴走者に
長年、新生児訪問に携わる中で、産後ケアの必要性を強く感じる場面に遭遇してきました。恥骨の痛みで歩けないお母さんが、ほぼ寝たきり状態で這うように赤ちゃんのおむつを替えていたこともありました。高齢出産のお母さんは、親がすでに要介護状態で手を借りられず、悪露が止まらなくなっていました。産褥期の孤立は母親と赤ちゃんの命の危険に直結する問題です。
そんな状況に陥らないよう、産後女性の心と体の回復をサポートするのが「産後ケア」です。厚生労働省では、ニーズの高まりを受けて、自治体に支援策を行うよう指導しています。韓国や台湾では長年培われてきた産後ケアの仕組みですが、ここ数年でやっと日本にも増え始めています。産後ケアホテル「マームガーデン」もその一つ。私自身、自分の集大成の仕事だと思い携わっています。
産後ケアホテルは、日数の制限や利用可能な条件がある自治体や病院の施設とは違い、ニーズに寄り添ったきめ細かなケアができるのが利点です。一人一人違う悩みや不安に耳を傾け、専門家である助産師が必要なケアを行います。そして自宅に戻ってから自分で赤ちゃんの世話ができることを目的として、授乳や沐浴の指導も行います。
産後ケアにおいて助産師は、「ママが自分で判断できる“自立”にむけての伴走者」。始まったばかりの「マームガーデン」ですが、先進的な産後ケア施設として、多くのママの子育ての原点になれるよう、発展させていきたいと思っています。
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体と心を労らなければいけない産褥期。
先生方からは「産後ケアホテル」への大きな期待を聞かせていただきました。産後のママにとって他にはない素敵な施設になれるよう、先生方の言葉を胸に尽力していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。