見出し画像

なぜLPO施策は進まないのか? エン・ジャパン✕プレイドが語るLPO施策の極意―ad:tech tokyo 2024参加レポート(6)

皆さまこんにちは! 皆さまのアプリビジネスのグロースやアプリマーケティングを応援しているMolocoです。広告施策の成果向上に向け、マーケターの方々は日々レポートを確認したり、クリエイティブを調整したり、さまざまな工夫をこらしていると思います。

なかでも最終コンバージョンに関わる施策がランディングページ最適化(LPO)です。Web広告でユーザーがLPに遷移したとしても、それで終わりではありません。申し込みや登録、資料請求まで行くかどうかの最後の鍵はLPにあります。ただ、それをわかっていながら日々多忙のため、LPOまで着手できないマーケターも多いのではないでしょうか。

『ad:tech tokyo2024』Molocoオリジナルセッション企画は、そんな課題を持っていたエン・ジャパン マーケティング本部 有田裕貴氏と、Webサイト改善プラットフォーム「KARTE Blocks」を提供するプレイド KARTE Blocks Teamの宮野智世氏を迎え、「広告効果を高速で引き上げるLPOの進め方」という対談を開催しました。その内容をレポートします。


バナー広告は改善できてもLPO施策に手が回らないという課題

今回、Molocoブースでご講演いただいたエン・ジャパンの有田氏は、2022年にマーケターとして新卒で入社しました。担当しているのは、20〜30代のビジネスパーソンを対象にしている若手ハイキャリアのスカウト転職サービス「AMBI」です。AMBIは同様の他社サービスと比べると後発に当たりますが、2025年には会員数150万人を突破。成長著しいサービスではありますが、有田氏は「自分の友人知人で利用している人はまだ少ないと感じていて、さらにマーケティングで伸ばしていかないといけない」と感じていたそうです。そのためにもLPO施策は必須でしたが、思うように進んでいないという状況でした。「バナー広告の改善はできているものの、LPOが進まない状況でした」(有田氏)と言います。

当時展開していたバナー広告は、クリエイティブやコピーなどで見せ方を変えており、その種類は16種類ありました。ところが遷移する先のLPのクリエイティブは1種類だけだったのです。

「このため2つの弊害が起こっていました。1つはLPがまったく改善されていないためCVRが底上げできないという点です。もう1つは、バナーの改善が優先的に進んでいたため、LPのファーストビューとバナーとの間で大きな乖離が起こり、逆に広告効果が下がってしまったのです」と有田氏は打ち明けます。

LPOが進まなかった3つの理由

LPOが進まなかった理由は3つあります。

当時の課題

1つはLPを改善したくても、コーディングの知識・スキルがないため心理的に億劫だったこと。有田氏に限らず、「自分のイメージしたとおりにLPを修正できる」ほどのコーディングスキルを持つマーケターは決して多くありません。また、修正したLPを本番環境へアップロードする工数もかかるため、自然と敬遠してしまいがちです。

そうなると「当初予定していた検証の期日からどんどん後ろ倒しになり、余計にタイムロスが起きてしまう状態でした」と有田氏は話します。

もう1つは、顧客理解の時間が足りず、LPを企画設計しようと思ってもどうすれば良いかわからなかったこと。当時有田氏は複数の広告媒体を運用しており、月次で目標を追っていましたが「検証の期日が遅れてしまうと、じっくり事前に考えて取り組むというより『何か検証を回さないと、何も仕事をしていないことになる』という思考に陥ってしまいます。そのため企画設計をする過程を飛ばし、いきなり実装から入って検証を重ね、結局勝ち率が低下してしまいました」(有田氏)といいます。

最後に、こうした負のサイクルに陥った結果、LPOの検証優先度を下げてバナー改善に注力することになり、社内ノウハウが蓄積されなかったことです。LPの改善について会議した時も、気付けばバナー改善の話ばかりしてしまい、LPOのノウハウがまったく出てこないことに「自分自身で愕然としました」(同)と振り返ります。

LPOに真正面から取り組むためKARTE Blocksを導入

以上の3つの課題のなかで、特に課題だったのがコーディングの知識・スキル不足でした。個人的に最もストレスを感じていた課題でもあり、「ここを解決すれば、あと2つの課題も解消できるかもしれない」と感じていたそうです。そこで有田氏が導入を決めたのが、プレイドのKARTE Blocksでした。

プレイドは、サイトやアプリの訪問者1人ひとりを可視化し、顧客体験向上を実現するCXプラットフォーム「KARTE」を提供しており、KARTE Blocksは、Webサイトの画像やテキストなどさまざまな構成要素を直感的にノーコードで編集・更新を可能にします。
 
A/Bテストやパーソナライズ配信も容易に実施し、データの集計、分析から実際のユーザーの反応までを見れることで次の改善アイデアをもたらす「リーン・サイト運営プラットフォーム」を実現します。

セッションに登壇したプレイドの宮野氏は「KARTE Blocksでは、スキルによらずにWebサイト運営を継続して、安心して、自由にできるようにすることで、サイト運営に楽しさとやりがいを感じ、エンドユーザーにとっても心地よい体験を実現していきたいと考えています。そのために、配信からインサイトの発見まで直感的に理解できるようになっています。」と説明します。

ユーザーの有田氏も「直感的かつスピーディーにLPの実装が可能で、実装と本番環境への配信が簡単にできます」と宮野氏に同意しました。

KARTE Blocks導入で3つの課題を解消

KARTE Blocks導入により、有田氏が抱えていた課題はどのように解決できたのでしょうか。

まずコーディングスキルの不足によるストレスについては「KARTE Blocksの導入で最も良かったポイントでした」(有田氏)と言います。コーディング知識がなくても、パワーポイントのスライドを編集するように直感的に画像の差し替えやテキストの修正が行えるため、簡単にイメージどおりにページを改修できます。

テキストの変更や画像の差し替え、URLの変更といったシンプルな作業でも、KARTE Blocks導入前は「最短でも15〜20分かかっていました」(有野氏)と言いますが、KARTE Blocksは管理画面上で簡単に修正できるので、1〜2分で本番環境へ配信できるそうです。

また、CSSファイルやJSファイルの書き換えを伴うようなHTMLの挿入も、KARTE Blocksが用意しているテンプレート群「ブロックストア」を活用して簡単に行えます。セッションでは、有田氏が実際にKARTE Blocksとテンプレートを活用してLPにカルーセルを実装している動画が表示されました。

また、KARTE Blocksは「いきなり本番環境にあるページを実装するのが不安」というニーズにも対応しており、テスト環境での改修・実装できます。これにより、一度検証したうえで本番にアップロードできる点もメリットでした。

こうしてLPOに関する実装の工数が大幅に削減され、時間に余裕が生まれました。これまでコーディング・実装には最低30分、長いと3時間かかっていたものが10〜30分へと大幅削減、アップロード作業10分がゼロになったため、1つの検証につき30分〜160分の時間削減につながったそうです。おかげで顧客理解を深めることができ、企画設計の工数も十分に取れるようになりました。

すると検証回数も増えていき、それに伴い勝ち率が上がるようになってきました。そうすると社内でのノウハウ共有がどんどん進むようになり、さらにLPO施策が加速します。気付けばいつしか負のサイクルから勝ちサイクルへと変わっていったそうです。

仮説立案や企画設計に使える時間が増えた

「これまで超過していたキャパシティに余裕が生まれたことで、検証や仮説のレベル感が上がったことを実感しました。それがメンバーの成長の底上げにもつながったと思います」(有田氏)

5〜20分のLPO作業でCVRは最大300%を達成

エン・ジャパンではKARTE BlocksでさまざまなLPO施策を進めてきており、セッションでは3つの事例が紹介されました。

まず紹介されたのはLPOのファーストビュー変更検証で。これは各バナー広告のビジュアルに応じたLPに遷移するというもの。実装時間20分でCVRは2倍に上がったそうです。

もう1つが新規コンテンツの追加です。HTMLだけでなくCSSの改修も必要なため、通常だと30〜1時間かかる作業がKARTE Blocksにより5分で完了、CVRは170%に向上しました。

最後に紹介されたのが、インサイトに基づいたメッセージ訴求です。シンプルな転職訴求メッセージではなく、KARTE Blocksでインサイトを深堀りすることで、訪問者の属性や特徴に適したメッセージ企画を立案し、CVRは3倍になりました。

こうして検証を重ねることで、ノウハウの共有が頻繁に行われるようになり、AMBIの成長に貢献しているそうです。

続いて宮野氏からKARTE Blocksを利用しているさまざまなユーザーの声と成果が紹介され、最後に「KARTE Blocksは数値だけで判断するだけではなく、ユーザー行動を見ながらその先の企画・検証に役立てるツールで、マーケター個々人の発想やアイディアをすぐに実装・検証できます」とのメッセージがあり、有野氏も力強くうなずいて終わりました。