「日本固有の領土」とは?
よく日本政府は「日本固有の領土」という言い方をします。「日本固有の領土」とは自然発生的に存在したのではなく、何らかの政治権力が入って来て領土とされた地域が日本列島にはかなりあるのです。
日本国の成立の条件は、①国名を「倭国」から「日本国」に変えたこと。②王の名称を「オホキミ」から【天皇】と変えたこと。③成文法として「飛鳥浄御ガ原令」という法律ができたこと。この3つを持って「日本国の成立」とみなすことができます。
これは現在でいうと、南は九州の鹿児島県以外、北は山形、宮城、秋田、岩手、青森以外、西は五島列島まで。ということになり、それ以外の土地は日本国の領土とされるのひ、大なり小なり武力を伴って併合しています。
つまり現在の鹿児島県、宮城県、山形県、岩手県、秋田県、青森県、北海道、沖縄県は「日本国の領土」ではなかったのです。
鹿児島県(薩摩・大隅)の『隼人」は8世紀前半に大友旅人により征服され、日本国『に併合され、それより少し早く、種子島、屋久島、奄美大島の住人が朝廷に恭順しています。
北の宮城、岩手、山形、秋田に対しては、8世紀後半から9世紀前半の『東北36年戦争」の結果、日本国に組み込むことができましたが、実際には地元の住民〔『蝦夷」と呼ばれました。)の、自治に任せました。青森に至っては、11世紀後半に至って、日本国の国制に組み込まれたのです。後、近世に入り、北海道渡島半島は12世紀頃から和人が住み始め、15世紀中頃以降には武田氏(のち、松前氏)が治めることになります。
近世に入り、北海道は松前氏、琉球(沖縄)は島津氏、対馬は宗氏が治めることになりました。
明治に入って欧米の植民地主義に刺激されて、近隣の朝鮮半島、台湾、千島列島、サハリン南部を植民地にした日本国ですが、第二次世界大戦の敗戦の結果、明治以降獲得した領土を失ってしまいました。
だから現在の日本の領土でも沖縄、鹿児島、宮城、山形、岩手、秋田、青森、北海道は『日本固有の領土]と呼ぶことはできません。理由は述べたとおり、7月世紀末の日本国成立時点では日本国の領域には入っていなかったからです。これらの地域以外の所は「日本固有の領土]と呼んで差し支えないでしょう。