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子どもの頃通っていた歯医者さん

息子は矯正をしていて、定期的に歯科に通っている。
ママ友から聞いて知った、近所にある評判の良い歯医者さん。
ただ、待合室が、すごく狭い。
いつも、ぎゅうぎゅう。

私が子どもの頃通っていたのは、そういう町の歯医者さんではなかった。
大学病院の歯学部の小児歯科であり、それは、たまたま家の近所にあったからだろうけれども、当時、周りの子ども達の多くは、そこに通っていたと思う。紹介状制とかがなかった昭和の話である。

中学生くらいからは町の歯医者さんに行くようになったが、それまではそこしか行ったことがなかった。

小児歯科ということで、中は子ども用の仕様になっていた。ズラリと並んだ診察用のイスの上は、ライトから、かわいらしいマスコットがぶら下がっていた。1つだけぶら下がっているのもあれば、2つぶら下がっているのもあった。耳元のマクラ部分からは、音声が流れ、昔話やキッズ向けの音楽を聴くこともできた。ただ、この機能は使ってくれる先生が限られていたように思う。

治療が終わると、受付のところで親が担当の先生から、説明を受けたりする。その間、子どもは、受付カウンターの下の「ごほうび」置き場のようなところから、1体、手作りマスコットを選び、持ち帰ることができた。そのマスコットは、かたどり用の石膏で出来たものであり、基本は白であったが、薄いピンク色とか、薄い黄色とか、薄い水色とかに着色されていることもあった。高さ4センチ、幅2センチ程度だったか。大きめサイズのレアなものもたまにあったような気がする。マスコットは、動物の形だったと思うけれど、いくつかの種類があり、集める楽しさもあって、そのごほうびはとても嬉しかった。

待合室も広かったと思う。
そして、その待合室とは別に、歯磨きをする場所もあった。
その歯磨きをする場所、というのが、なんだか不思議な光景であり、あれはなんだったんだろう、と今でもふと思い出したりする。

正面に鏡のある、いわゆる洗面所であり、学校とかデパートとか駅とかのトイレにある、手洗いボウルが複数個並んだ広めの洗面所のような感じではあったのだけど、その手洗いボウルの奥のスペースに、ズラリと色とりどりの歯ブラシが並んでいたのである。

先生に診てもらう前に自分で歯磨きをするための場所、ということなのだけども、私は基本的に自宅で磨いてから行っていたので、そこで歯磨きをしていた記憶がない。
でも、たまたまその場で近所のお友達に会った時、その子は学校帰りにランドセルを背負って直接来た様子で、そのため、そこで歯を磨いていた、ということが一度あったような気がするので、たぶん、そういう利用はあったとは思う。

だから、おそらく、通っている子どもが、自分のマイ歯ブラシを、いつでも来たら磨けるように、常に置いている、ということだったのだろうと思う。

お友達もそこに置いていたマイ歯ブラシを使ったのか、その日に自宅から携帯してきた歯ブラシを使ったのか、それはどっちだったか分からない。

ただ、そのズラリと並ぶカラフルな歯ブラシは、どれも子ども用歯ブラシだからか、すごくかわいいなあと思ったのは覚えている。
1本1本に、名前が書いてあったかどうかも覚えていないけれども、書いていないと問題だろうし、書いてあったのだろう。

何も分からなかった自分は、母に一度、これ、好きに使っていいのかと聞いて、ダメだと言われたような気もする。

でも、なんか、管理がそんなに厳密のように思えず(勝手に置いてるだけというか)、小さい子だと好きに使ってしまいそうな、そんな雰囲気でもあったように思う。

コップとか、歯磨き粉については全然記憶にない。反対側の壁の一角にスチールラックがあったと思うので、そこに置かれていたような気もするけれど、全く思い出せない。

歯ブラシが並んでいたな、ということだけ、覚えている。







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