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地元の良さ

 全ての土地に歴史があり、人の営みによって生まれた文化がある。知らない町であっても、その町をよく知る人に案内してもらえれば、どこでも途端に名所になり得てしまう。その土地の良さを純粋に味わうよりも、ゆっくりと歩みを進めながら、見たり聞いたり感じたり、歴史や文化、その地に生きる人、その地にしかない良さを知ることで、いつの間にかその町を好きになっている自分がいる。

 今日は友達に頼んで、彼女の生まれた地を散策し、公園や神社、史跡、お店などを回りながら一日を過ごした。うららかな春の陽射しの下で散歩するだけでもとても気分がよく、日常を忘れてリフレッシュすることができた。その上、彼女にとって馴染み深い町を一つ一つ丁寧に案内してもらいながら、知らない町の良さを知ることができたのが何よりも楽しく、こんな良い休日があるものかと感じるほど充実した一日となった。

 以前、他の友達に地元を案内してもらった時のあの感動と楽しさが忘れられず、再びあの喜びを味わいたいと願い続けていたが、今日こうしてまた一つ、新たな「地元」を知ることができて良かった。

 見知らぬ記念碑に記された文字を読んでいると、ふと通りかかった地元のご老人がちょっとした小話を教えてくれる。そんな何気なく温かいやり取りは、次第に貴重で得難いものになっている。講演会や展示会に足を運ぶのも良いが「友達の地元案内」には、気の赴くままに感じ、言葉を交わすことができる、気取らなさや何気なさがある。そんな雰囲気も好きな理由の一つかもしれない。

 同様に、私も自らの地元を案内したことがある。この体験は、地元を案内する側にとっても、地元の良さを再発見できる良い機会だった。土地勘はあれど、普段は日常に追われて深く知ることがない場所も多い。忙しい日常の中、たまに立ち止まって、身の回りのものにじっくりと目を向けることで味わえるこの楽しさは、きっと子どもの頃には知り得なかっただろう。これからも皆の「地元」をもっと知りたい。そして、皆にも自分の「地元」の良さをもっと知ってもらいたいな。