日記


今日は、近所に新しくできたジュースバー「ザ・フルーツデストロイヤー」へ。

新鮮なフルーツをその場でジュースにしてくれるらしい。

店内には、お姉さんが2人。

「こんにちは、フルーツデストロイヤーへようこそ」

まず、フルーツを選ぶ。

自分で選んだフルーツをミックスして、ジュースにしてもらえるらしい。

メニューを見ると、

選ぶフルーツの数によって料金が変わるシステムのようだった。

ミニマムデストロイコース(¥300)→1種類
ミニデストロイコース(¥400)→3種類
デストロイコース(¥500)→5種類
デスデストロイコース(¥600)→7種類
破壊(¥700)→9種類


私は、ミニデストロイコースを選ぶ。

「じゃあ、ミニデストロイコースでお願いします」

「3種類のコース、ですね」

それでいいならそう言えばよかった。

「それではデストロイするフルーツを3種類お選びください」

と、お姉さん。

デストロイするフルーツ。

私は、みかんとりんごとパパイヤを選んだ。

「みかんとりんごとパパイヤをデストロイですね?」

「はい、デストロイで」

「はい、じゃあミキサーにかけていきます」

ミキサーでデストロイするようだ。

お姉さんが

「みかんりんごパパイヤミニデストローイ」

と奥のお姉さんに伝える。

奥から

「ミニデストローイ」

と返ってくる。

やっぱりデストロイが引っかかる。

注文を無事通して暇そうにしていたお姉さんに、

「デストロイヤーって、どういうことなんですか?」

と聞いてみる。

すると、

「まあそのまま破壊という意味ですけど…」

お姉さんは続ける

「フルーツジュースって、フルーツをこう、ぶっ壊すして作るわけじゃないですか。

だからまあ、そのまんまの意味ですね笑、フルーツをデストロイするっていうか笑。私も。」

とのこと。

最後の「私も」の部分以外はなんとなく分かった。

それから、お姉さんは

「あ、あと『ぶっ壊す』ってもうひとつ意味が込められていて。

『フルーツ』をぶっ壊すとともに『常識』もぶっ壊そう、というね笑笑」

ダブルミーニングだった。

常識のデストロイはかっこいい。

ちなみに、メニューの「破壊(¥900)」は、それ以外のメニューより1分長くミキサーするらしい。

長くミキサーすることで、よりフルーツのぶっ壊す効果があるとのこと。

そりゃそうなるよな、と思った。

かたや奥のお姉さんは、冷蔵庫からみかんとりんごとパパイヤを取り出してきて、ミキサーに入れる。

そして、スイッチを入れる。

ウイーン

フルーツはどんどん破壊されていき、やがてジュースが完成した。

ジュースは、一般的なミキサーを使って常識的な工程で出来上がった。

なんじゃいと思った。

「お待たせしました」

「ありがとうございます」

私は受け取って、店を後にする。

扉を開けたところで、そういえばお会計をしていなかったことに気がつく。

そのまま引き返す。

「すいません、お会計してないですよね」

お姉さんははっとして、申し訳なさそうに

「すいません」

「良いんですよ」

私は¥400払う。

レシートを出しながらお姉さんは、

「あやうく『利益』までデストロイしてしまうところでした…」

ちょっと恥ずかしそうに言う。

「たしかに」

私はあいづちだけして、店を後にする。

ミニデストロイは美味しかった。

ミニで十分だった。

また来ようと思った。

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