日記
今日は、ルームフレグランスを見に行った。
友だちのとも子ちゃんが家に遊びに来た時、
「けむたいね」
と言ってきたのがずっと引っかかっていたからだ。
ルームフレグランスでどうにかなるかは分からないが、
けむたいと思われるのは嫌だ。
行ったお店は専門店で、
要望に合わせてカウンセラーがおすすめのものを選んでくれるとのこと。
私が行くと、小柄なお姉さんが声をかけて来る。
お姉さんの名札には、「シャ」と書かれていた。
海外の方だろうか。
シャさんは、
入店してきた私を認めるなり
「あ、紙とペンを持ってきますね」
と、奥へ。
「はい」
何か書かされるのだろうか。
30秒ほどして、
シャさんがタブレットを持って戻って来る。
「じゃあ私が書くので言ってください」
とシャさん。
カウンセリングが始まった。
「お部屋の雰囲気はどんな感じですか?」
「シンプルな感じです、白が基調ですね」
「なるほど」
シャさんはその間タブレットにメモを取ることもせず、
じっくり目を見て話を聞いてくれる。
「お部屋にいることが多い時間帯を教えてください」
「朝家を出て夜帰って来ることが多いですね」
「なるほど」
「苦手な香りとかありますか?」
「甘すぎるのは好きじゃないですかね」
「なるほど」
そして
「最近なにかお困りごとはありますか?」
「お困りごと…」
突然の大きな質問。
今思えば困っていることはたくさんあるが、
その時はこれひとつしか出なかった。
「肩こりとかですかね…?」
「なるほど、以上です」
「ありがとうございました」
「少々お待ちください」
シャさんは、席を立ち再び奥に消えていく。
結局持ってきたタブレットは一度も使わなかった。
店内にはあらゆる香りのフレグランスが並んでいる。
特にお花の種類が豊富だった。
またスプレータイプのものや、お香タイプのものなど、タイプも様々ある。
どんな香りを提案してくれるのだろう、シャ。
すると、シャさんが奥からバインダーと小瓶を手に戻って来る。
先ほどのカウンセリングの際Tシャツにスラックス姿だったシャさんは今、
白衣を着てゴーグルをしている。
そして髪の毛は、なんか煤けてボサっとなっている。
シャさん自身が調合してくれたのだろうか、
頑張ってくれたのだろうな。
それだけでちょっと嬉しかった。
「香り診断結果です」
と、バインダーを見せてくれる。
書類の1番上に
香り診断結果
と書かれていた。
そして、その下の
あなたの診断結果
と書かれた欄に
湿布スター
と書かれていた。
ほう、と思った。
すると私が確認したのを見て、
シャさんはすかさず小瓶を開けて手渡してくる。
「湿布スター、こちらです」
手渡してくれたものの、匂わずとも
開けた瞬間にすでにぶわっと香ってきている。
完全に湿布の香りだった。
私は
「湿布ですか?」
と聞く。
すると、
「湿布スターです」
と、シャさん。
聞くと、
シャさんは「肩こり」というワードからインスピレーションを受けたのだと言う。
しっかり私の目を見て
「肩こりには湿布だと思いまして」
と、シャさん。
まあたしかに。
「スター」の部分に関して聞くと、
「輝きを増(ま)させるため」
と言っていた。
増させる。
「輝く湿布、みたいなイメージの香りということですか?」
と聞くと、
「どちらかというと、
輝きを増させた湿布ですかね、
まあ遠からずですけど」
と、シャさん。
思っていたのとは違ったが、
せっかくシャさんが頑張ってくれたので
「湿布スター」のフレグランスを購入することに。
スプレータイプにした。
シャさんは、
「ありがとうございます」
とレジに誘導し、
タブレットでお会計をしてくれた。
早速家に帰って、スプレーしてみた。
あまり期待はしていなかったが、
小瓶で嗅いだ時より薄められて思ったよりいい感じの香りになっている。
良い、良いよ。
たださっき再びスプレーしようとすると、
液体が詰まって噴射されない。
買ったばかりなのに。おかしい。
よく見るとスプレー容器がちゃちかった。
盲点だった。
明日容器を100均で買おうと思う。
必ず。