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ハイブリッドスーパーキャパシタをDIY 

【アルミニウム箔空気電池のキャパシタとしての性格を強めるナトリウム塩とアルミニウム塩の効果役割】

【アルミニウム箔をボロボロにしないで充放電するハイブリッドスーパーキャパシタ】

アルミ箔、墨汁紙、電解質紙を重ねてステンレスメッシュ電極で挟み込めば、アルミニウム空気電池としても、アルミニウムキャパシタとしても働く。イニシエーション充電後に放電する。電池として放電するとアルミニウム箔がボロボロになる。キャパシタとして放電すればアルミニウム箔はボロボロになりにくい。

アルミニウム箔と接する墨汁紙に加えるナトリウム塩、アルミニウム塩の効果を調べた。
またステンレス電極と接する電解質紙に加えるナトリウム塩についても効果を調べた。 

紙に付けるのは食塩、石鹸水、ミョウバン水の効果を調べた。食塩は塩化ナトリウム。ミョウバンは硫酸アンモニウムアルミニウム。石鹸は、脂肪酸ナトリウム。

【実験方法】
アルミ箔の上に下部紙電極と上部電解質膜を置いて最上部にステンレスメッシュ電極をプラス正極とした。

下部紙には墨汁を漬け、食塩またはミョウバンを付けた。

上部紙には食塩水または石鹸水を付けた。

最下部アルミ箔をマイナス負極として、最上部ステンレスの正極との間をキャパシタとしてイニシエーション充電した。

下部のアルミニウム箔をマイナス極として電気処理すると電池としての放電電流が上がることは以前の実験で見いだした。初期表面膜を還元処理して、電池放電がスムーズに進むのと、キャパシタ充電を狙うイニシエーション処理だ。

イニシエーション充電時の電流、電力を測った。
その後の放電電流値も測った。

【実験結果】
表にまとめて図示した。

初期イニシエーション充電処理特性

【充電電流】
下部に食塩水を使うと充電電流は2.2または1.8アンペアと、大きい。下部がミョウバン水では充電電流は1.0または0.45アンペアと小さい。

充電電力は下部に食塩水を使うと10.3ワットや8.5ワットと大きい。

下部紙に食塩水を使うと10秒充電しても電力値は9.0または9.4ワットと変わらず大きい。

下部紙にミョウバン水を使うと、充電電流が1.0または0.45アンペアと50%以下にまで小さくなる。電力値も小さい。

特に下部に食塩を使わず、上部紙にも食塩を使わない場合は充電電流、電力が0.45アンペア、2.1ワットと非常に小さい。

【10秒充電したときの充電電力の変化】
下部紙にミョウバン水を使った場合の10秒充電後の電力をみると、上部紙によってちがいがある。上部紙に食塩を使うと、10秒充電の電力は9.4ワットで、大きい。下部に食塩水を使った電力とほぼ同じようなまで高まる。

一方、下部紙にミョウバン、上部紙も食塩水を不使用(石鹸水使用)だと充電初期も電力が2.1ワットと小さく、10秒後も3.3ワットで小さなままだ。

上部紙の石鹸水について見ると、上部紙の食塩水に比べると充電電流、充電電力は、ほぼ同じか、小さい。

下部に食塩水を使わずミョウバン水を使う場合のほうが、上部紙石鹸水で充電電力が小さいという傾向はハッキリする。

【放電電流】

放電電流値


放電電流は
上部に石鹸水、下部に食塩水を使うと140ミリアンペアと最高値を記録した。
下部に食塩水をつかうと110ミリアンペアと放電電流値は高い。

上部に石鹸水を使うほうが放電電流は大きい。

下部紙に食塩水を使わないでミョウバン水にすると放電電流は20%以下となり小さい。

【アルミニウム箔の観察】
放電電流の一番大きい上部石鹸水、下部食塩水のアルミニウムを観察すると破れてボロボロになっていた。その他のアルミニウム箔では破れは観察されなかった。

【下部紙の食塩水】
下部紙の食塩水はアルミニウム箔を溶かす役割がありそうだ。充電電流、放電電流が高いのはアルミニウムの溶解が速いことを示している。アルミニウム空気電池として使うなら下部紙に食塩水があったほうが放電電流が大きい。

ただ放電するとアルミニウム箔はボロボロになり再充電はしにくい。

【上部紙の食塩水】
上部紙に食塩水があると電池の電解質膜の導電性が上がる。充電電流も大きい。よく電気が流れる。アルミニウム箔が溶解するのは速くなる。

【上部紙の石鹸水】
上部紙に石鹸水を使うと導電性が下がるようだ。充電電流が流れにくい。その分、石鹸水紙を絶縁膜としたアルミニウムキャパシタとして充電できる。アルミニウム箔はボロボロにならずに、キャパシタの充放電ができる。放電電流は電池よりキャパシタからの放電だとみなせる。

【下部紙のミョウバン】
下部紙に食塩水を使わないとアルミニウム箔は溶けにくい。そのため、上部紙に石鹸水を使うキャパシタとして働く場合には、高い放電電流が取り出せる。

ただ、上部紙に食塩水を使うとキャパシタとしても弱く、電池としても弱いというタイプになる。

イニシエーション処理還元の効果がミョウバン水のアルミニウムイオンの存在で、遮られたようにも見える。アルミニウムイオンからアルミニウム金属への還元が起きる電圧と、酸化膜の還元電圧とに分散して、どちらも進まないようだ。

【食塩、ミョウバン、石鹸水の役割】
アルミニウム空気電池とアルミニウムキャパシタの性格を併せ持つ。キャパシタとしての性格を強めるために、以下のナトリウム塩の役割が分かった。

下部紙の食塩水が電池としての性格を強める。

上部紙の石鹸水がキャパシタとしての性格を強める。

下部紙のミョウバンは上部紙に石鹸水を用いたキャパシタとしての性格をさらに強める。

上部紙の食塩水はキャパシタとしての性格を弱める。

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