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どんなことがあっても最後は「元気でいてくれたらそれでいい」と願う

数時間の手術を終えて対面した娘は頭を包帯でグルグル巻きにされていて、麻酔で眠っていました。
主治医からはその場で切除した血管を見せていただき、奇形のある部分はすべて切除しました。と伝えられた。


夏を感じる蒸し暑い季節だったので、傷口が膿んできたりすると毛根が消えて髪の毛が生えなくなってくるということは聞いていた。
だから娘の手が頭にいかないように、起きて遊んでいる間は毎日見守る必要があった。


経過は順調で、主治医や外科部長の先生が娘の様子を見に来てくださり、それに答えるように日に日に良くなっていきました。心配事と言えば、傷口がきれいに治ってくれることだけだった。
手術前に主治医との話で、どのようにメスをいれるかという話を聞いた。
それは娘の頭の毛流に沿って、将来少しでも傷が目立たないようにするための方法だった。


当時は2歳4ヶ月だったので、傷口もそこまで目立つものではなかったけれど、成長とともに頭も大きくなるので、頭皮が伸びてくると必然的に傷も大きくなるということも伝えられていた。
だから、せめて毛根が無くならずに少しずつ髪の毛が生えて傷が目立たなくなってほしいと思っていたのだ。



入院中次女は時間を持て余すので、おもちゃや絵本、DVDを観て過ごしました。「わんわん」のDVDには本当にお世話になり、すり切れるほど観させていただいたおかげで、出てくるキャストの一語一句すべて覚えてしまったくらい。


そして患部の傷は、やはり治っていく段階で痒みがあったりするので膿んでいるところもあった。
ガーゼを替えてもらったりするときに診察も兼ねて診てもらう。「順調やね~。」と主治医から褒めてもらえると私も嬉しかった。
傷口の治りが芳しくなかったので入院が長引いていました。


入院中は娘の保育園からも連絡があり、園長先生が心配してくださって。
入院が少し伸びたけれど、元気に回復している事を伝えると「みんなで待ってるからね」といってくださった声がとても優しかった。


傷は完治ではないけれど、退院しても問題ないということで通院に切り替わった。
1週間後、2週間後、というふうに少しずつ間をあけて受診した。
術後から半年間通って、主治医が他の病院へ移ることになったのをきっかけに娘の治療も終了した。


娘が年頃になり、頭の傷が気になることを考えたときのために傷口をきれいにする手術を勧められたが、今はそれは考えていないと伝えました。
髪の毛を剃って丸坊主にするなんて、年頃の彼女がかわいそうだ。
そしてその手術のために入院し痛い思いをするのも親としては本意ではない。
娘が希望すればその時考えよう、と決めました。


今、娘は10歳と4ヶ月。あれからちょうど8年が過ぎた。
これまでのところ、あの時と同じ症状は出ておらず、元気に育ってくれています。
髪の毛を伸ばして毎日くくっていて、傷が大きく残っているので一つくくりがほとんどですが、二つに分けてくくって欲しいと言われることもしょっちゅうあって。傷のことを本人には言いますが、ちょうど後ろなので自分で見ることができないんです。だからか、本人はそこまで気にしてなくて。5年生になるまで誰かに傷のことを言われたこともなく、平穏にやってきました。


生まれつきのものだという医師の見解が最初にあったけれど、このことだけではなく発達も含めて、思えば度々子どもたちの体と向き合ってきた。
こういう経験をたくさんしたからこそ、食べること、暮らすことがどれだけ大切なのかということを思い知ったような気がする。
そしていろんな事があっても最後はやっぱり「元気で生きていてくれたら」と、そこに還っていくのだ。子どもに対する無駄な期待は削ぎ落とせても「元気で生きてほしい」という願いはどの親も手放せない。



子どもを持って初めてわかることがたくさんありすぎて、それは教科書にも載ってない、全く同じは誰もいない、正解のないものだっていうことを経験と一緒に、子どもに教えてもらったなー。と
8年目の夏に振り返ったのでした。






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