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#8 道志村で杉の皮むき女になる
そのときわたしは悩んでいた
店の外壁はどうするかと
青々とした木立の向こうに光る白い壁。
それは一見美しいけれど……
と、むちゃくちゃへたくそな文学チック書き出しではじめてみましたけど、そう、今回は外壁のおはなし。
上の写真はとても分かりづらいと思うのですが、基本的に壁は一般的な住宅と同じような素材が貼られていて、色は白とグレーの中間のような色です。
そのままでもまあ可愛いお家なのですが、書店にするにはもう一つ雰囲気にかけると感じていました。
当初は色をぬりなおすだけでもよくなるかなと考えていたのですが、義母がこんなやり方があるみたいよと教えてくれたのが、木を表面に貼り付けてなんちゃって木の家風にするという物でした。
それいいですね!と詳細を知りもせず即賛成したのですが、そこからの義母の行動は早かった。
わたしがイメージをぼんやり浮かばせて、どんな雰囲気になるのかぼやぼや思い描いているうちに
早速近所の材木屋さん「池谷木工さん」に相談すると、池谷さんも 「いや〜そりゃ大変だよー、まず木の皮剥かないといけないしね〜、、、管理も大変だよ、、、」
とかなんとか言いながらもすぐに家まで来てくれて全部測ってくれ、ちょうど良いだけの杉材を即確保してくれました。
その後皮剥くのには人手が必要だよと言われていたので、10月くらいまでに人を集めてのんびりやろうと思っていたら、なんと近所のきこりのおじさんに10月まで置いといたらむけなくなる!全部くっついちまうぞ!と言われ、またまた義母が声をかけたら、即集まってくれたのがこちらの素敵なメンバー!
CAMP SPACE DOSHI 2.0(CSD 2.0)の皆さんです。
(すっごく面白い定額の会員制キャンプ場なのでぜひぜひサイトをご覧あれ)
中央後方黒いTシャツの方が発起人の河西誠(かわにしまこと)さん。
河西さんを中心にキャンプサイトにいらしていたメンバーたちが、急な呼びかけにもかかわらず、いくよー!やるよー!っていうノリで来てくれました。いやめちゃくちゃありがたいー。
さあ、いざむこう!これが木材だ!
ぱっと見そんなにない気がして、なんだすぐに終わりそう!?
なんて思っちゃったんだけど……
甘かった……
幸い人数はいるので、二人がかりで1本の木に挑めます。
一人が木を押さえて、もう一人がむいていくという感じ。
道具に関しても全く何も知らないまま行って、池谷さんのところにあったナタとかオノを借りたり、CSDの皆さんが持ってきてくれた物をお借りしてやりました。
軍手しないとヤニだらけになって落ちねーぞーと池谷さんに言われ、軍手すら持ってきていなかったわたしはそれもCSDさんに借りるという始末。
いやはや面目ないです。
剥がし始めればペローんとむけちゃうのかと思いきや、これが全然で!
切ってすぐの杉の木はむけるらしいのだけど、今回はだいぶたってしまっていたので、
かなりの力仕事。コツを掴むと力を入れなくても良いらしいんだけど、そのコツが難しいし、まぁ苦戦しました。
最初に刃を立てて、グッと少し深めに差し込んでグッグッとひくとピリピリピリ〜!と剥がれます。
白い部分が見えてくるまでむきます。
これがなかなか見えない…
みんなで試行錯誤。
でも上手くはがれると快感!
途中からはだいぶ慣れてスピードもアップしました。
むきあがりがこんな感じ。
最終的には塗っちゃうので、ざっくりで良いということでこのくらいの仕上がりになりました。
しかしその日まで連日雨で涼しかったのに、この日は突然の晴れ間でみるみるうちに気温もあがり、見事な炎天下。
突然の暑さで熱中症のことなんてあまり意識してなかったので、対策もしておらず途中で慌てて冷たい飲み物だけ買ってきて、とにかく水分と休憩を取りつつ汗だくでやるという感じになってしまいました。
そんな頼りない依頼主だったのに、CSDのみなさん文句も言わず、むしろ楽しい!と言って笑顔でやってくださって、もう本当に感謝感激です。
CSDメンバーの小学3年生の息子さんまで参加してくれて、しっかりお手伝いしてくれました。
わたしより全然頼りがいがあったなー。
この日はあまり長くやっても、熱中症になってしまったら元も子もないということで、2時間ほどで切り上げてまた次回ということになりました。
成果は1/3ほど。
これねーわたし1人だったら……無理だった!
1人で一生懸命やっても何ヶ月もかかってしまって、結局むけなくなる……っていうパターンが目に見えてました。
だから本っっっ当〜にCSDのみなさんに感謝です。
まだ店作り始めたばかりだけど、人と人とのつながりってほんとに大事だと思ったし、誰かの助けがないと何も出来ないと言っても過言ではないと思った。
それは今までもきっとそうで、なかなかダイレクトにつながりを感じることができない世の中だけど、毎日生きて生活している中でやっていることは、誰かの頑張りの上に成り立っていたり、誰かが運んでくれたものを使っていたり、そもそも誰かが命をかけて作ったものを食べていたりするわけで。
都会ではそういうことを意識することも少ないけれど、田舎だからこそ顔が見えて直接つながれる。お礼が言える。恩返しもできる。
それってシンプルだけど、人間が生きていく上で重要なことなんじゃないかなぁ。
自分も本屋でそうやってたくさんの人とつながって恩返ししていきたいと改めて思いました。
さて長くなってしまいました。
Twitterでこの皮むきのことをつぶやいていたら、イラストレーターの沢野ひとしさんに “道志村皮むき女“ と名乗り、道志村のことを世にひろめよとのお達しをいただきました。
皮むき女の名に恥じぬように頑張ります!
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