なべとびすこ『クランクアップ』
なべとびすこさんの『クランクアップ』を拝読しました。
印象に残った歌を引きます。
上の句の冗談めいた言い方と、下の句の切実さの落差に惹かれました。
主体にとっては、来てほしい時に誰かが来ることは、雨を呼ぶことくらいありえない現象なんですね。
「来てほしい」の「ほしい」がひらがなであることで、より純粋な願いという印象を受けました。
塗り薬や飲み薬を常用するのが当たり前になった日常で、たまに思ってしまうようなぁと共感しました。
自分の回復力だけで健康を保ちたいという現実的な読みももちろんですが、生き抜く力がほしいというもっと根源的な願いのようにも感じました。
あなたはわたしのそばにいてくれるだけで素晴らしい。
そんなメッセージを感じました。
「可能なかぎりゆっくりほめる」がとても好きです。
ほめられた相手も、ほめている主体も、じんわりと心があたたまる素敵な時間だと思いました。