
11月の俳句など

今朝の冬富士柿くへばさかさかな
立冬のひかりやなべて涙なる
今朝の冬話しながらも目の手元
立冬のみどりごほどの塩むすび
いつもよりはやく食べ終へ今朝の冬
立冬のあつくなりたる唇よ
立冬の夜なり茶を飲む窓辺あり

棕櫚高く剥ぎて稿つぐ十年よ
花棕櫚やひとの集へば一書なる

ががんぼの揺らす世界や聴こえるか
止める術持たぬ手を切れ蚊の姥よ
ががんぼに映る瓦礫の極彩や

煮卵の煮抜かれてゐし鵙の贄
替玉の洲生まれたる秋あかね
冬の日をさへぎる髪やラーメン店
大阪のとんこつと云ふ愛日よ
友達以上恋人上等ブロツコリ
愛されてゐてもなくてもブロツコリ
しつかりとボケを務めるブロツコリ

三島忌のホツトドツグの冷めやらず
見失ふ石のひびきを由紀夫の忌


こま犬のうへに三円こはるかぜ
厚物の充満したる古堂かな
写らない兄の見ている七五三
めめ刀自命てふ猫やぶ柑子