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[report]『犬派?猫派?』(山種美術館)

※タイトル画像 竹内栖鳳《班猫》山種美術館蔵


開催情報

『犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―』
場所:山種美術館(東京都渋谷区)
開催日:2024.5.12.sun-7.7.sun
入館料:1400円(一般)
  ※ぐるっとパスで一般料金の200円引

内容:犬と猫を題材とした古今の名品を紹介

※竹内栖鳳《班猫》と長沢芦雪《菊花子犬図》の2作品はスマホで撮影可。

単語

  • 趙州狗子じょうしゅうくし】→「狗子仏性」(『無門関』)。禅の公安。「狗子に還って仏性有りや也た無しや」(犬にもまた仏性がありますか?)「州云く、無」
    趙州じょうしゅう和尚
    「狗子仏性 莫言箇無 風吹瀝々 東壁葫蘆」

章構成覚書

第 1 章 ワンダフルな犬
 縄文時代:猟犬
 弥生時代:番犬
 室町時代:洋犬(「唐犬」「南蛮犬」)渡来
 江戸時代:狆(室内犬)
 近代:愛犬
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【飼っていた犬】
 小林古径:「丹」(テリア)、「ジョッキ」(サモエド)、「ボン」(マルチーズテリア)
 川端龍子:「ムク」(セッター)、「モル」(セパード)
 石橋英遠:「ファンファン」(ペキニーズ)

第 2 章 にゃんともかわいい猫
 弥生時代:?
 平安時代:ペット(紐をつけて)
 江戸時代:ネズミよけ(紐はつけない)
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【飼っていた猫】
 川合玉堂:(虎猫)
 國司 華子:「ガウラ」(猫)

特集展示 トリ最後は花鳥画
【飼っていた(可愛がっていた)動物】
 横山大観:(犬、小鳥、猿、ロバ)
 牧進:「ピー太」(雀)

感想

平日とは思えない賑わいに驚いた。
多くの人に親しみやすいテーマであることと、先日、テレビ東京の「新 美の巨人」で紹介されたからだろうか。(この放送、見逃してしまった。残念!)

俵屋宗達に始まり、山種アワード受賞の現役画家の作品まで、古今の犬猫(鳥)が描かれた作品が並ぶ。
さりげなく現代作品を観る機会があるのが嬉しい。
キャプションに画家とモデルの動物のエピソードが紹介されているのも楽しい。

山種美術館の看板猫、竹内栖鳳《班猫》が今回撮影OK!
神秘的な青緑の瞳に、金色に輝く毛。
…ふわっふわの毛並みに顔を突っ込んで、胸いっぱい吸い込みたい…
そして、落款の位置はここなのかあ、と考えてしまう。
頭の中で他の位置に動かしてみるけど、やっぱりここかなあ。なんで、ここなんだろう。猫の手と対照になるから?
背景の微妙なグラデーションも計算済みなんだろうか?なんだろうな。

竹内栖鳳《班猫》山種美術館蔵

モデルの猫と竹内栖鳳のドタバタエピソードも楽しい。
余談だが、《班猫》Tシャツやトートバッグは山種美術館ではなく、ユニクロ恵比寿店で販売中。

いいなあとか惹かれるのとは別に、"かわいい"のボディストレートが鳩尾みぞおちにクリティカルヒットして「ぐはッ!」となる作品がある。
私の場合、今回は小林古径《狗》と川合玉堂《猫》の2作。

小林古径《狗》…モデルはテリアの「丹」だろうか?
川合玉堂はキャプションで紹介されている、いたずら子猫に翻弄される様子が微笑ましい。

トリでは、つぶらな黒い瞳がかわいい雀、牧進《明り障子》が気に入った。
こうして並べると、私は、画家が可愛がっている動物を描いた親しみのある作品が好みのようだ。

他の方の感想を SNS や note で拝見すると、それぞれ刺さる作品が違っていて楽しい。
誰かと一緒に観に行って、カフェで和菓子を食べながら感想話し合ったりするのが楽しそうな美術展。


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