見出し画像

[report]『「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」展』(川崎市岡本太郎美術館)


開催情報

『川崎市市制100周年・開館25周年記念 「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」展』
場所:川崎市岡本太郎美術館(神奈川県川崎市)
開催日:2024.10.12.sat-2025.1.13.mon
入館料:1000円(一般)

内容:川崎市市制100周年と川崎市岡本太郎美術館開館25周年を記念し、常設展示室と企画展示室の双方で開催する特別な展覧会。
「対極主義」を意識した淺井祐介と福田美蘭による二人展。
岡本の表現・思想の多面性を、世代や表現方法の異なる2人の現代作家の視点で見直す機会とする。

※ 写真撮影可
※  スマホアプリ『ポケット学芸員』で、無料の音声ガイドが聞ける(イヤホン推奨)
※ 館内Wi-Fi有り

主な登場人物

  • 岡本太郎(1911-1996)

  • 福田美蘭(1963-)

  • 淺井祐介(1981-)

感想

♪ べらぼうな夢はあるか?でたらめをやってごらん

心の中で TAROMAN の歌を口ずさみながら、小田急線 向ヶ丘遊園駅から元気に 20分ほど歩き、川崎市岡本太郎美術館へ。

エントランスホール正面に受付。左手に映像などを上演するガイダンスホール、受付の右側が常設展示室の入り口。
常設展示室→企画展示室と繋がっている。
今回は常設展展示室も特別仕様、初めての来館という事もあり、冒頭から全力で鑑賞し、企画展示室終盤で、へばってしまった。
…企画と常設、全部シッカリ見る体力も集中力もないのが分かっているのに、また同じ過ちを…学習力ないな。

常設展示室
淺井と福田が選んだ岡本太郎作品の展示に、二人のコメントが添えられている。
このコメントが、二人はそう思うのか、そう見えるのか〜と、新鮮で面白い。

今回の展覧会のテーマは「挑む」「対極」。

左から順に
《二人》《遊ぶ子》《挑み》(淺井が選んだ作品)
《黒い太陽》《空間》(福田が選んだ作品)
全て岡本太郎作品

岡本太郎が提唱した芸術運動「対極主義」。
「対極主義」とは「相対立する要素を調和、中庸に導くのではなく、激しく対立させることで新たな局面を切り拓く」こと。(企画展示室キャプションより)
冒頭にこれらの作品が並び、淺井・福田の両名がどのように岡本太郎に挑んでいくのかワクワクする。

向かい側には岡本太郎のスケッチ。
岡本太郎のこういうスケッチを見たことがなかったので、非常に面白かった!

岡本太郎《母と子》1962,1963,1968 紙、墨
岡本太郎《トランプ》1977 紙
 このトランプいいなあ!
ショップでもトランプ売っていたのだが、同じ絵柄か分からなかったのと(聞けば良いのだが)、4200円くらいしたので見送ってしまった。買っておくべきだったかなあ…(いや、でもちょっと持ち合わせが…)
でも、きっと、もったいなくてシャッフルできない。折れたら泣く。
淺井祐介《誰のためのお客さん?》2024
岡本太郎《歩み》(陶磁)、淺井祐介《星屑の子供》(マスキングテープ、紙、土、蝦夷鹿の血とレバーから作られたプルシアンブルー、綿棒、爪楊枝、ポリスチレンボード、エポキシ樹脂、アクリルレジン)
常設展示室は岡本作品だけかと思ったら、こっそり《星屑の子供》が遊びにきていた。
バア!と顔を出したみたいで、可愛らしい。ヤドカリみたい。

常設展では、岡本太郎が作品を制作する様子やインタビューの映像も流れていて、大変興味深い。
ガイダンスホールで上映している映像も見たかったのだが、今回は時間と体力切れ。

企画展示室
まず目に入るのは中央ガラスケースの中の《邂逅》。

岡本太郎《邂逅》1971 繊維強化プラスチック
邂逅とは「思いがけなく巡りあう事、偶然の出会い」(福田美蘭コメントより)

左手側、ノンが制止する先には、金と銀の足跡。
後ろの壁には、福田美蘭のスケッチ。

岡本太郎《ノン》1970 繊維強化プラスチック
ガラスケースから続く足跡
福田美蘭《邂逅》2024 ドローイング(トレーシングペーパー、鉛筆)(部分)
夜も更けて、誰もいなくなった美術館。《邂逅》が、ガラスケースから抜け出してダンスを踊っている姿を想像し、楽しい。
淺井祐介《マスキングプラントー邂逅のポンプ》2024 マスキングテープ、油性マジック
反対側から。《邂逅》を祝福しているように見えた。

企画展示室左手が福田美蘭、右手に淺井祐介の作品が並ぶ。
福田美蘭展示の前半は、小学一年生の福田が両親と万博に行った時の思い出とスケッチ、友人からプレゼントされた岡本太郎『黒い太陽』のサイン本を観覧者が手袋つけて拝見できたり、太郎のお墓の写真に鮮やかなブーゲンビリアの花を加筆した展示などが並ぶ。

福田美蘭《太郎の墓》2024 印画紙にデジタル銀塩プリント、アクリル絵具

この前半の展示が効いていると思った。
後半は《森の掟》のジッパー開けたり、《戦士》に輪投げしたり、正直、心の奥でちょっとやってみたいと思いつつ、やってもいいのかな?とも思っていたことを、軽やかに作品にしている。
前半の展示を見て、岡本太郎へのリスペクトがあると感じたので、素直に楽しいと思えた。
後半の展示だけだったら、ちょっぴり何か引っかかったかもしれない。

左:福田美蘭《森の掟》2024 パネル、アクリル絵具
右:岡本太郎《森の掟》1950 キャンバス、油彩
見比べて楽しい

右側、淺井祐介の展示は…残念ながら、私自身の気力・体力が切れてしまい、撮った写真が激減している。
写真ないけども、メインは岡本太郎《明日の神話》vs淺井祐介《在処ありか》…と思う。
《明日の神話》に、淺井が制作ボランティアのみんなと川崎の土と共に相対する!
そして、観覧者も靴を脱いで《在処》の上に立ち、足元からの力を受けつつ、《明日の神話》に対する!

しかしながら、淺井展示で一番印象に残ったのは入り口付近のこちらのコラボ。

岡本太郎《愛》1961 コンクリート
淺井祐介《はじまりのグー》2024 陶器作品(陶土、土、釉薬)
親子が仲良くまあるくなって、眠っているよう。


余談
福田美蘭の展示で、観覧者が備え付けの紙にスタンプを押して、1枚持って帰ってもよいという展示がある。
スタンプに何度もしっかりインクをつけて、入念に力を込めて押したつもりなのだが…

…芸術が不発だ…悲しい。
まあ…この湿気った感じが自分らしい気もする。
調和と中庸を好む一般市民だし。




いいなと思ったら応援しよう!