[report]知識ゼロからの『呉昌碩の世界』2COMBO
※タイトル画像 書道博物館のミュージアムグッズ トートバッグ第8弾「呉昌碩の世界」バージョンより部分(呉昌碩のバイブル「石鼓文」の拓本 台東区書道博物館蔵を意匠化)
開催情報
『生誕180周年記念 呉昌碩の世界 ーその魅力と受容ー』
場所:朝倉彫塑館(東京都台東区)
開催日:1期2023.12.16.sat-2024.1.10.wed
2期2024.1.12.fri-2.7.wed
3期2024.2.9.fri-3.6.wed
入館料:500円(一般)※ぐるっとパスで入場可
※2.14.wed-3.31.sun 工事のため屋上閉鎖
場所:書道博物館(東京都台東区)
開催日:前期2024.1.4.thu-2.12 後期2.14.wed-3.17.sun
入館料:500円(一般)※ぐるっとパスで入場可
…知らないと「えっ!?ホントにこっちでいいの?」って不安になりますが、ラブホテル街の中です。
2館とも、基本写真撮影不可なので、今回展示写真はなし。
東京国立博物館の1089ブログを「呉昌碩」で検索するとたくさん記事が出てくるので、予習復習におすすめ!
主な登場人物
呉昌碩Wú Chāngshì(1844-1927)
篆刻家、書家。「石鼓文」の古拙な味わいを書・画・篆刻に結実させた。西泠印社設立&初代社長。「清朝最後の文人」「偉大なる不器用」朝倉文夫(1883-1964)
彫刻家。呉昌碩と互いに作品を交換。中村不折(1857-1916)
画家、書家。呉昌碩の印を所有。王一亭(1867-1938)
実業家、書画家、銀行家、政治家。上海を中心に活動。孫松(1882-1962)
日下部鳴鶴(1838~1922)
書家。呉昌碩の友人。沈石友(1858-1917)
呉昌碩の友人任伯年(1840-1895)
画家。呉昌碩の終生の師友梅舒適(1916-2008)
本名:稲田文一。篆刻家、書家。「梅舒適コレクション」(兵庫県立美術館が受贈)に多く呉昌碩作品を含む。
単語
【篆刻】印材に文字(篆書)を刻むこと
【篆書】秦代以前に使われていた書体。周末の金文が起源。
【文人】詩文や書画など文芸をたしなむ人。文化人。知識人。
【石鼓文】紀元前5世紀頃の春秋戦国時代のものとされる。石に彫られた資料として現存する最古のもの。原石は破損。拓本は貴重な資料。現在は北京故宮博物院に展示。
【臨書】手本を見ながら字を書く。
【西泠印社】篆刻中心の学術団体。印章の受注販売、篆刻用品の販売を行う。
【海上派】19世紀に上海を中心に活躍した芸術家。ちなみに北京を中心に活躍した芸術家は「京派」(斉白石など)。
【海派四傑】蒲華、虚谷、呉昌碩、任頤(任伯年)
展示内容(企画展内容に絞っての覚書)
朝倉彫塑館(呉昌碩×朝倉文夫)
<エピソード>
ある日本人の仲介で、呉昌碩と朝倉文夫との間で作品交換の話が持ち上げる。
まず呉昌碩が手持ちの作品から「老松図」と「臨石鼓文」を贈る。
朝倉は呉の肖像彫刻を作成しようとするが、中国にいる呉と対面することはできない。
そこで、呉から前後左右の4枚の写真を送ってもらい、その写真を手がかりに像を作成し、船便で送った。
像を受け取った呉はお礼の手紙と共に、朝倉のために書き下ろした「神在箇中」=ここには精神が宿っている(朝倉の作品を褒めて)と、「石竹図」を贈った。
この像は文化大革命の際、亡佚。朝倉のもとの石膏原型も関東大震災で壊れ、現在はその破損部分が収蔵されている。
朝倉はこれを機に、自ら呉昌碩の作品を収集。王一亭、孫松の作品なども収集し、中国書画コレクションを充実させた。
<主な展示>
呉昌碩から贈られた4展の書画《臨石鼓文額》《老松図軸》《石竹図軸》《篆書神在箇中額》
朝倉文夫《呉昌碩像》(破損像残部)
像作成のために送られた4枚の写真
呉昌碩からの手紙
呉昌碩、孫松、王一亭の作品書道博物館(呉昌碩×中村不折)
呉昌碩は日下部鳴鶴をはじめ、犬養毅、富岡鉄斎、内藤湖南、長尾雨山など、多くの日本人の印を刻している。
不折と呉の直接の接点は見つかっていないが、不折は呉が刻した「豪猪先生」と「邨鈼」の二つの印を所有している。
<主な展示>
朝倉文夫《呉昌碩像》
朝倉作成の像に関するエピソード資料
呉昌碩、孫松などの作品
石鼓文
沈石友の硯コレクション
呉昌碩に関する新聞資料等
梅舒適コレクションより
感想
朝倉彫塑館
朝倉邸に呉昌碩作品も飾っています、みたいな感じで、「呉昌碩展」な雰囲気はあまりない。
客も「呉昌碩」観に来ましたというより、普通に朝倉彫塑館を観に来た人が多そう。
順路最後の「蘭の間」以外、写真撮影禁止なので写真ありませんが、ここに来たときはスマホの電源OFFにして、五感で朝倉邸を満喫するのが良い気がする。
すごく素敵な所なので、まだの方は、ぜひ一度足をお運びください。
公式サイトに館内の見所ダイジェストの動画があります。
…しかし、4枚の写真からこの彫像作るってすごい。書道博物館
不折風の注意書きが楽しい。
展示品の解説も「呉昌碩くん」と「フセツくん」が親しみのある平易な言葉で解説してくれるので、私のように書道知らない人も「へぇー、そうなんだー」と見ることができます。
あとで気づいたけど、200円で音声ガイドもあった。
次回、借りてみます。
本館の展示は、石や金属に文字が刻まれたもののコレクションで、トーハク東洋館好きなら楽しめると思います。
トーハク東洋館も行って、3COMBOにしたかったのだけれど、時間と体力が切れました。
トーハクのは初詣の時に前期を見ているけれど、今、もう一度見たら、もっと楽しめそう。
呉昌碩は東洋館でちょこちょこ展示しているみたいなので、焦らずともまた機会ありそうですが。
購入グッズ
・トートバッグ(1500円)
呉昌碩が朝倉文夫に贈った「臨石鼓文額」と、呉昌碩の生涯のバイブル「石鼓文」をデザイン。さらに呉昌碩が中村不折のために刻した印が刺繍された「呉昌碩バージョン」。
書道博物館の、このトートバッグ、お値段以上と好評のようです。
確かに生地はしっかりとしたキャンバス地、高さ38㎝×幅38㎝×マチ9㎝の包容力、ワンポイントの刺繍も入り、口にはマグネット、中にはポケットと、凝った作り。
これは第8弾なので、結構頻繁に絵柄が変わっているようです。
・キャラクターシール(300円)
これ見た時、私の中の呉昌碩像が足元からひっくり返りました。(良い意味で)
グッと親しみやすくなりました。
トーハクとの連載企画で、こんなにキャラクターがいたとは知りませんでした。
ノートに貼って、書の偉人ミニ図鑑作ります。
ネコ派同志諸君に緊急速報!
朝倉彫塑館にて下記の特別展が開催予定とのこと!楽しみです。
【特別展】「朝倉文夫没後60年 ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬」(仮称)
【会期】2024年9月14日(土)~12月24日(火)〈予定〉
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