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口に合うもの。


講座の際、わたしは「美味しいお茶のいれ方」とは言わないようにしています。

10人いれば、「美味しい」の感覚は10通りあるからです。
(体調や雰囲気、誰といただくか、でも左右されると思う。)

わたしの「美味しい」は、誰かにとって「美味しくない」かもしれないし、誰かの「美味しい」は、わたしにとって「美味しくない」かもしれない。

そんな感覚的なところを強要するのは違う気がするので…。

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以前、静岡市にある、とあるお茶屋さんで、京都からいらした女性の方と隣り合ってお茶をいただいた事があります。

「静岡のお茶は色は綺麗だけど、苦くて少し苦手…。」

と、その女性は仰っていました。

わたしは「好みの味・口に合う」の感覚は、「懐かしさ」に由来するのかな?と思っています。

講座の中で、「どんな味のお茶が好きですか?」と聞くと
「熱くて苦いお茶が好き」という方は、だいたい静岡にご縁ある方で、幼少期に祖父母と一緒に住んでいた、という共通点がありました。

「旨みのあるお茶」が好きな方・口に合う方は、食事の際に昆布でしっかり出汁をとったものを召し上がってきたのかな?とも思います。
それは、昆布は植物に主に含まれる、アミノ酸系グルタミン酸。
お茶に含まれるテアニンも、アミノ酸系グルタミン酸なんです。

調べてみると、京料理に使われる出汁は昆布が基本で、これにマグロ節、鰹節、さば節などを合わせた一番出汁(核酸系イノシン酸)が使われるとか。
(干し椎茸は、核酸系グアニル酸。)

そういえば、アメリカから来た方に玉露を飲んでいただいた時
「Strong!!!」
と、仰っていました。
そして、日本人の方はだいたい
「ん?味の素???」
と、仰います。
(AJINOMOTOさん、すごいです。)

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普段食べ慣れている魚由来の旨みに敏感な舌を持つ日本人と、肉由来の旨みに敏感な舌をもつ西洋人。

慣れれば、どちらも感じる事ができるようになるそうです。

様々なものを食べて、様々なものを感じられる舌を持っていると、食事の楽しさも広がると思います。

お茶はその種類も多いです。

淹れ方も沢山あります。

お茶の葉の量、温度、抽出時間でかなり味が変わります。

基本を知っていれば、応用ができます。

応用ができれば、自分好みにも、相手好みにもいれ分けられるんです。

「人の味覚は9歳までに完成する」
と聞いた事があります。

29歳をピークに、そこからは落ちていくとも。

そこから先は、思い出や雰囲気などで“美味しい”と感じるんだとか。


旨味、甘味、苦味、渋味、塩味(旨味成分由来の)。
お茶で感じる事ができます。

お茶の葉と、お湯だけ、です。


だからこそ、さまざまに楽しんでいただきたいと思います。

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