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好みのコーヒー豆を見つけよう その2

前回の記事では、コーヒーの三大種について書かせていただきました。

それぞれ個性があり、ぜひお試しいただきたいな…と思います。

さて、今回はそれをもう少し掘り下げていきたいと思います。
実際のところ、もう一段階掘り下げた品種のお話になると、ほとんどアラビカ種の栽培品種の話になります。

最近では、香味に特徴がある品種や、高級なスペシャリティーコーヒー銘柄にも注目が集まっていますので、それらについても取り上げていきます。


さて、品種のグループはいくつかあるのですが、今回は「2大原種」のひとつ、ティピカ種について取り上げていきます。

ティピカ種は、一言で言えば、「酸味好きにおすすめ」です。


①ティピカ種

アラビカ種の中では最も古い品種です。

この品種が歴史上に登場するのは1699年のことです。
その後、1723年にガブリエル・ド・クリューという人物が、フランスのパリ植物園から西インド諸島マルティニーク島に持ち込んだ一本の苗木が、今の中南米のティピカ種の共通の祖先です。

原種に近い品種特有のクリアな酸味と上品な香りが際立ち、とても美味しいのですが…現在の世界生産に占める割合はわずかです。

その理由は、

耐病性が非常に低い
気候適応力が弱いため育てにくい
収穫量が少ない

原種によく見られる特徴ですね。
弱いというよりは、慣れ親しんだ生まれ故郷以外ではなかなか暮らせない、という感じでしょうか…。


ティピカ種の代表的な銘柄は…名前をご存知の方も多いと思います。
コーヒーの王様とも言われる「ブルーマウンテン」です。

ハワイコナやキリマンジャロと並んで、世界3大コーヒーとも称されます。

ブルーマウンテンは、

ジャマイカのブルーマウンテン山脈で
標高800~1200mの限られた地域で栽培された
もの「だけ」

を指します。
ブルーマウンテンを名乗って良いエリアは政令によって定められています。

薄いブルーのエリアが「ブルーマウンテン」の栽培地域です。狭い…。

ちなみに、ブルーマウンテンは、唯一樽詰めで輸出されます。
コーヒーストッカーで、この樽をモチーフにしたものを見かけますね。

イギリスの植民地時代に、小麦粉などの空いた樽をリサイクルし、コーヒーなどを詰めて出荷したのが始まりとされています。

木材が内外の湿気を吸収・放出するため、輸送時の急激な温度変化を緩和してくれます。
樽詰めは手間やコストが掛かりますが、ブルーマウンテンの品質向上に大きく貢献しています。

ブルーマウンテンというブランドは、

・コーヒー栽培に最適な土壌と気候
・完熟豆のみを手摘みで収穫
・樽詰めで出荷

という品質の追求に加えて、

・国による管理

によって維持されています。

前述の栽培エリアの限定もありますし、農園にもしっかり国家管理が入っています。さらに厳格な品質検査もあります。

「ブルーマウンテンNo,1」を名乗るには、国家資格を持つ検査官による厳しいテストをクリアしなければならず、その合格率は3割程度です。

その味わいは、酸味ベースではあるものの、苦味、甘味、酸味、コクすべてがクリアで絶妙なバランスを保っています。
そして最も特徴的なのは、「芳醇な香り」です。

他のコーヒーにブレンドすることで香りを増すことができるので、「ブルーマウンテン・ブレンド」はよく見かけます。


(ちょっと裏話)

日本ではメジャーなブルーマウンテンですが、欧米での認知度はそれほどでもありません。

※ブルーマウンテンの出荷先は、8割以上が日本向け

繊細な味わいを好む日本人に対して、欧米ではカフェオレやエスプレッソ向けに深い焙煎で飲む傾向があり、クリアな酸味を楽しむため浅めの焙煎・軟水でのドリップが適するブルーマウンテンはあまり需要がなかったようです。

そして…日本でのブルーマウンテンに対する神話に近いブランドイメージは、実は作られたものでもあります。

ブルーマウンテンが日本に初めて入ってきた頃、入荷量も少なく、仕入れ値も非常に高価でした。

コストがかかるためできるだけ高い価格で売りたい…それで打ち出されたキャッチフレーズが「英国王室御用達」でした。

当時ジャマイカは当時イギリス領で、ジャマイカコーヒーはイギリス王室が飲んでいると勝手に想像してつけたキャッチフレーズです(根拠なし💦)。

しかし、このキャッチフレーズが大ヒットし人気が爆発。
日本では「高級なブランドコーヒーと言えばブルーマウンテン」、という、「ブルーマウンテン神話」が始まったのです。

この神話のために、偽ブルーマウンテンが出回る事態にもなりました。
今でも、一般のジャマイカ産の豆に勝手に「ブルーマウンテン」とタグをつけて販売している悪質な業者さんもいるようです…。
一般のジャマイカ産ティピカも、普通に飲めば美味しいのに…偽物扱いされるのはとてもかわいそうです。

とにかく、ブルーマウンテンは特に、購入する時は信頼できるお店で!


偽物騒動など色々ありますが、ブルーマウンテンの品質は世界最高峰であり、繊細な味わいと香り高さは素晴らしいものがあります。
値は張りますが、ぜひ「本物のブルーマウンテン」を味わってみてください。


次に、日本で比較的よく見かける銘柄としては「ハワイ・コナ」があります。

名前の通り、ハワイのコナ地区で栽培されている品種で、1840年代から本格的な生産がスタートしました。

アメリカの純国産コーヒーとしてアメリカ本土でも人気がありますが、日本にも、ハワイのブランドイメージから人気が高く、比較的多く輸入されています。
ただ、販売時には100%コナではなく、ブレンド(10%程度)されているケースが多いようです。
ハワイ・コナもとても高価な豆のひとつですが、それにも理由があります。

・火山灰による肥沃な土壌+コーヒー栽培に最適な気候
・有機栽培
・完熟豆のみを手摘みで収穫


スペシャリティーコーヒーを名乗るにふさわしい手間の掛け方ですね。

ハワイ・コナは、ティピカ種らしいクリアな酸味と爽やかな香りが中心です。
酸味がありながら柔らかな甘みとコクがあるという、
酸味好きからするとうっとりするような味わいを持ちます。
個人的には、ブルーマウンテンに比べてやや酸味と甘みが強い印象です。

ガツンとした苦みが好みの方には不向きですが、コーヒーの上質な酸味を味わってみたいという方にはお勧めです。やはり高価ですが…💦


上記の2つのブランド以外でも、ティピカ種のコーヒーは見かけることがあります(主に中米産やコナ以外のハワイコーヒー)。
やや安価なものもありますので、酸味に興味があれば見かけたらぜひ味わってみてください。

最近は品質も向上し、ブランドではなくても十分に美味しく、クリアな酸味を楽しむことができます。


今回は、ティピカ種について取り上げてみました。

・酸味好きなら、高いけれど一度はトライ!
・信頼できるお店で買う!

ということで…。

次回は、2大品種のもうひとつ、ブルボン種について取り上げます。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


以前、コーヒーの淹れ方を記事にしていますので、参考にしていただければ幸いです!

コーヒーを美味しく淹れましょう! その1

コーヒーを美味しく淹れましょう! その2

コーヒーを美味しく淹れましょう! その3

もし、読者の方からのご質問があれば記事化していきます!
(時間はかかると思いますが、少しずつ記事にしますので気長にお待ちください<m(__)m>)

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