スペインに現れた「月面」とは
2022年12月11日、AP通信社がこのような記事を配信しました。
欧州宇宙機関(ESA)や米航空宇宙局(NASA)が、長年宇宙飛行士の訓練に使っている施設がスペイン領の島にあるのだそう。
その島の名は「ランサローテ島」。
ランサローテ島はどこにある?
どこ?と思う方、こちらです。
どちらかと言うとモロッコ沖と言える場所ですね。
この島はカナリア諸島の最東端にあり、一番近い陸地(アフリカ大陸)からは100km以上離れています。
ちなみに、有名な鳥であるカナリア
はこの地域が原産なのでこの名がついています。
元々カナリアはラテン語で「犬」の意味で、この島に多くの犬が住んでいたからとも言われていますが、これは諸説あります。
ということは、カナリアという鳥の元の意味は犬で…?いや、やめておきましょう。
さて、ところでなぜこんな場所で宇宙飛行士の訓練を?と思うのですが、それはこの島の地質によります。
カナリア諸島の俯瞰図、衛星写真とランサローテ島の写真を見て、何か思い出したら地理の学習がかなり進んでいる証拠。
この列状に並んでいる島々。そしてこの黒々とした溶岩。
そう、カナリア諸島はホットスポットなのです。
上のイラストは太平洋のホットスポットですが、基本的な構造はカナリア諸島のそれも似ています。
ちなみに、テネリフェ島にあるテイデ山(3,715m)はスペイン最高峰。海底から測ると世界で三番目に高い山となります。
ランサローテ島が訓練場になった理由
ランサローテ島は、18世紀の大規模な噴火により広大な火山地形を持ちます。
ホットスポットであるが故に、粘性の低い玄武岩質の溶岩を噴出し、溶岩台地を形成しました。
また、300を超えるクレーターも存在し、その荒涼とした姿はまさに月面そのもの。
というわけで、宇宙飛行士の訓練に使われてきたそうです。
ということは、同じホットスポットのハワイ諸島にもあるのでは?と思ったら、やはりありました!
今、大規模な噴火で話題のマウナロアに、NASAの訓練施設があります。
というわけで、ホットスポットといえばハワイ諸島!というイメージがありますが、他にも多くのホットスポットが存在するというお話でした。
ざっと見ただけでもこんな感じ。
ハワイ諸島、アイスランド、アフリカ大地溝帯などの定番以外にも、カナリア諸島はもちろん、イエローストーン、ガラパゴス諸島、タヒチなど実は結構あることがわかります。
というわけで、今回はニュースから改めて地理の定番事項、ホットスポットについて見てみました。
ちなみに、カナリア諸島の魅力はこちらの動画でも。
これを見たら、旅行に行きたくなるかもしれません。
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