動物園と呼ばれた店(2)
前回を読んでいただけると分かる通り騙されて(?)無事採用された私はこの日いきなり接客させられる羽目になった
堂々と言える話では無いが私はブスだ
長年勤めた結果ブスを認めて自分のポジションを確立していったが当時の自分は世の中の男性の態度があまり良くない理由を分かっておらず男性は怖い生き物だと思っていた
「頼む、女性客よ来い」
私の願いは届かず初接客は若い男性グループだった
トモさん(仮名)という女性と一緒に接客だった
トモさんは鳥とチンパンジーのハーフらしい(嘘です)
鳥とチンパンジーのハーフ(トモさん)と私はお客さんとの挨拶を交わした
私が微笑むと1人の男性が私を見て可愛い雰囲気出てるねと微笑み返してくれた
ここで注意して欲しいのは決して褒められたのでは無いということである
可愛いなら可愛いと褒めるところをあえて可愛い雰囲気と言った彼の心境を30文字以内で答えよ(配点20点)
今なら満点の答えを出せる自信はあるが当時の私はウブな女の子(齧歯類)だったので褒められたと勘違いし分かりやすい程に調子に乗った
接客が終わりお客さんが帰った後鳥とチンパンジーのハーフ(トモさん)はブチギレていた
後々聞くと私を褒めてくれたお客さんは常連さんらしく鳥とチンパンジーのハーフ(トモさん)は彼に恋をしていたそうだ
常連さんが私を本心で褒めていたのでは無い事は確かだが(今思えばすごく気を遣ってくれる優しい方だった)自分の好きな人が今日入った新人(齧歯類)を褒めていて、しかもその新人(齧歯類)が浮かれポンチのパッパラパーと来たら怒りが込み上げてくるのも無理はない
トモさんは鳥とチンパンジーのハーフのくせに涙を流して叫びながら泣いていた
(これだから動物園なんて言われるんだよな)
それから数ヶ月私は鳥とチンパンジーのハーフとその仲間たちにシカトされる羽目になるのだがこの時の私はそんな事をまだ知る由も無く一刻も早く辞めてやるんだと給料の計算をしながら帰りに食べるラーメンについて考えていたのである