Future feat. Pusha T, Pharrell & Casino - Move That Dope 和訳
アタランタ出身のラッパーFutureが2014年にリリースしたアルバム、Honestからの一曲。客演にはコカイン等のドラッグの売人をしていたことでも有名なラッパーPusha Tや彼を見出したことでも有名なシンガー/プロデューサー/ラッパーであるPharrell Williams、(ここではラッパーとして活動する際の名義Pharrell)、そしてFutureの主宰するレーベルであるFreebandzのラッパーCasinoを迎えています。
この曲ではドラッグディーラーとしての彼らの生活や彼らの周りの人々の姿が語られています。一方ではそうした仕事を誇っているように感じられますが、Futureのインタビューなどからはこうした生活の危険性、いかに若者(特に有色人種)がドラッグ関連の活動をしているか、そうせざるを得ないかについての問題提起的な側面があると考えられます。
[Intro: Pusha T & Future]
Real dope dealers for real, haha
Hahaha
マジもんのブツの売人さ、ハハ
Ah, push it x4
売り捌け
[Chorus: Future]
サビの部分ではこの曲のプロデューサーの1人であるP-Nastyの声がバックグラウンドで流れています。その歌詞は
Young n**ga, move that dope x2
若い奴らはブツを運べ
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
運んで売り捌け
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運べ
Young n**ga, young n**ga move that dope
若い奴らはブツを売り捌け
Young n**ga move that dope
ブツを運ぶ若い奴ら
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
ブツを売り捌くんだ
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運ぶしかないんだよ
(アメリカにおいてアフリカ系の黒人の若者は薬物の売買に代表されるギャングの活動に関わっていることが多いと言われています。それが金を稼ぐための手段の一つであることもあれば、生活のためにこうした活動に関わらざるを得ないこともあります。)
繰り返し
[Verse 1: Future]
Whippin’ the yam, whippin and flippin’ the yam
ブツを作り、準備して売り捌く
(yamは本来はヤムイモを意味しますが、コカインのスラングとしても使われます)
Turn the whole brick to a Lam
ブツを丸々捌いて逃走する
Re-rockin’ the dope, soon as it get off the boat
船から荷下ろししてすぐにブツを仕立て上げる
(利益を増やすために薬物の純度を下げ、量を増やそうとしている)
Keepin' it soft like a mink
ミンクの毛皮みたいにヤワにしておく
Gold on my link, coke in the sink
俺のチェーンリンクは金色、シンクにはコカイン
Choppin’ that work like karate
空手チョップみたいにブツを細かく切り分ける
Servin’ a new Maserati, in a brand new Maserati
マセラティに乗って、マセラティを買えるくらいのブツを売り捌く
(イタリアの高級スポーツカー)
That’s a whole lot of new money
大金を稼いでるぜ
Stash it, then hide it from the 12
秘密の場所にしまって、サツから隠す
(12は警察を意味するスラングです。無線コードが由来だそうです。)
Movin’ and squashin’ them bales
ブツをシュリンク包装する
(プラスチックでピチピチに包装するやつです)
Servin’ the rawest of yayo
コカインの原材を売り捌く
Beating that china like Kunta Kinte
クンタキンテみたいにチャイニーズの奴らを打ち負かして
Whippin’ it, whippin’ that fish and Parkay
ブツを仕立て上げる
(クンタキンテはルーツという黒人奴隷を描いた映画の主人公です。叩く、殴るなどの意味を持つbeat や鞭で打つという意味のあるwhipとかけています)
Drinkin’ on syrup, I’m rollin’ up haze
コデインを飲み、大麻を巻いて吸う
(コデインは咳止めシロップなどに使われている医療薬ですが若者の間ではスプライトなどと混ぜてドラッグとして飲まれることが多いです。)
Made myself a boss, a boss and a plug
自分自身が俺のボス、ボスであり仲介人でもある
Either way you put it, n**ga, I'm good
どちらにしても俺は良いさ
Triple salute, n**ga, straight out the hood
敬礼3回さ、ストリートから飛び出て来たんだ
Bakin' soda water splashing scales
重曹や水が秤に飛び散ってる
(前述の純度を下げる作業中に使います)
Fork in my right and my pot in my left
右手にはフォーク、左手には大麻
Leanin' all the way over to the side
一方に思いっきり傾いていく
I whip me a four way to a nine
銃を手にする方法は四つある
The dirty, the money is homicide
南部じゃ大金は殺人を招く
And my recipe can’t be televised
それに俺のレシピはテレビじゃ流せないぜ
[Chorus: Future]
Young n**ga, move that dope x2
若い奴らはブツを運べ
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
運んで売り捌け
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運べ
Young n**ga, young n**ga move that dope
若い奴らはブツを売り捌け
Young n**ga move that dope
ブツを運ぶ若い奴ら
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
ブツを売り捌くんだ
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運ぶしかないんだよ
繰り返し
[Verse 2: Pusha T]
Young enough to still sell dope
まだブツを売れるほど若いが
But old enough that I knows better
賢く立ち回れるほど長い間この仕事をしてる
When they sayin’ it’s 42 for that white powder, I knows better
あの白い粉に42払うって言ってるなら、俺の方が上手だな
(おそらくここで出てくる42は「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えは42である」というSF小説が由来の有名な話から取っていると思われます。また、”knows”は、コカインを摂取するときに鼻から吸うということで、”nose”にかけています。)
Get it, n**ga? I nose better, put a smile on the devil’s face
なぁ、分かったか?俺はコカインを吸うのも上手いんだよ、悪魔を笑顔にさせるぜ
Who don’t wanna sell dope forever
ブツをずっと売り続けたくない奴なんているのか?
And flood their Rollie till the bezel break?
ロレックスのベゼルをダイヤまみれにしたくない奴はいるのか?
Woo! Fish scale in the two-door that I fish-tails
コカインの塊を積んだ車で尻振り運転する
Fiberglass, Ferrari leather, in designer shit that I misspell
ガラス繊維に、革のフェラーリ、ミススペルしたブランド物を着てる
(Pusha Tと兄であるNo MaliceからなるデュオClipseが手がけるブランドにPlay Clothsのことを指していると考えられます。[Clothesが一般的なスペルであるはず])
YUGHH! Look at the clues
手がかりを見ろ
The J’s, the jewels, I’m actin’ a monkey
ジョーダンに宝石、ベイプを身につけてる
(A BATHING APE(アベイシングエイプ、ベイプ)は日本のデザイナーであるNIGOが手掛けるブランドです。猿のマークでお馴染みであり、Pusha TはNo Maliceと共にこのブランドがお気に入りのようです。)
From 16 years old, I'm whippin' in kitchens, fuckin' my junkies
16歳の頃からキッチンで中毒者のためにブツを調理してきた
Pablo, Versace way before Migos
パブロエスコバル、ミーゴスの前からヴェルサーチをつけてきた
(Pablo Escobar はコロンビアの麻薬王とも呼ばれた男です。また、MigosはVersaceという曲で一躍有名になったラップグループです。)
My dinner plates, no silverware, all you n**gas my hijos
俺のディナープレートは銀食器じゃない、お前らはみんな俺のおかげで食ってける
Toss a kilo like a free throw, crack house, it had the peephole
1キロのブツを覗き穴付きの密売所にフリースローみたいに投げ込む
Made it through to the other side
ムショに入らずにここまで来れた
Now nothing’s big as my ego, Push
俺のエゴはもう何よりもデカいんだ、プッシュ
[Chorus: Future]
Young n**ga, move that dope x2
若い奴らはブツを運べ
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
運んで売り捌け
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運べ
Young n**ga, young n**ga move that dope
若い奴らはブツを売り捌け
Young n**ga move that dope
ブツを運ぶ若い奴ら
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
ブツを売り捌くんだ
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運ぶしかないんだよ
繰り返し
[Verse 3: Pharrell Williams]
Me, I try to leave the best for later
俺はベストなものを後に取っておこうとしたけど
But Pusha tried to put me on the respirator
プシャが俺を人工呼吸器に繋ごうとしたんだよ
The old Skateboard P, that's your favorite
昔のスケートボードPがお気に入りなんだろ
(Pharrell のあだ名の一つ)
Me and twenty girls doin' yoga naked
俺と20人の女の子たちは裸でヨガしてる
Frequency high, like a spaceship
高周波、まるで宇宙船
She say that she like it and she's been exposed
あの子はそれが好きだって言ってるし、露出もしてる
The Gandalf hat and the weird ass clothes
ガンダルフみたいな帽子に奇抜な洋服
(Pharrell がよく着ています)
That’s Comme des Garçons and the Buffalo
コムデギャルソンとバッファローだ
(ブランド名)
I know gorillas with the triggers that's on a banana clip
バナナ弾倉付きの銃を持ってるタフな奴らと知り合いだ
(自動小銃のカートリッジが曲がっている姿がバナナのようなことからついた名前だそうです)
And packin' with the biggest missiles
そいつらはすごくでかいミサイルも持ってる
These n**gas is knocking over vehicles
そいつらは車を強奪するんだ
These n**gas ain't waitin' just to see n**gas
そいつらはただ挨拶するためだけに待つなんてしない
These n**gas ain't tryna hear plea, n**gas
そいつらは嘆願なんて聞かないぜ
These n**gas like choppin’ down trees, n**gas
そいつらは木を叩き切るのが好きだ
(大麻を巻くために切り刻むという意味の他に、一家皆殺しにする=ファミリーツリー(家系図)をそこで切る、という意味もあります)
These n**gas 1-2-3 and they squeeze, n**gas
1,2,3で襲ってくる
These n**gas hit the weed then they lean n**gas, gee, n**ga
そいつらは大麻を吸ってから人を殺す、さっさと逃げな
(大麻を吸う=smokeと銃を撃つ=smokeをかけていると考えられます。)
If you got two hoes, you need to let one go
女が2人できたなら、1人は手放せ
Two Lambos, you need to let one go
ランボルギーニも2台はいらない
All these drones while y’all smoke dro
お前らが水耕栽培の大麻を吸ってる間に、ドローンでの戦争が進んでるんだよ
There’s an eye in the sky, I’m tryna let y’all know
空に目があることをみんなに知らせようとしてるんだ
(文脈的にドローンのことと思われますが、他に、政府によって私たちが監視されていること、神様は私たちの行いを見ているという意味であるとも考えられます。)
Ain't no standards, I'ma set one though
基準なんてない、俺は自分に一つ設定してるけどな
Big ass bag but no man sandals
でかいカバンはあっても、男物のサンダルはない
All that war, we need to let that go
争いごとは全部やめるべきなんだ
That boom business, I’ma get that ho
景気の良いビジネスは俺がモノにする
[Chorus: Future]
Young n**ga, move that dope x2
若い奴らはブツを運べ
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
運んで売り捌け
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運べ
Young n**ga, young n**ga move that dope
若い奴らはブツを売り捌け
Young n**ga move that dope
ブツを運ぶ若い奴ら
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
ブツを売り捌くんだ
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運ぶしかないんだよ
繰り返し
[Verse 4: Casino]
Young n**ga got that coke, whip that dope like a bad child
コカインを手にした若いヤツは、悪い子へのお仕置きみたいに強く叩いて粉にする
How you think I bought that coupe with no roof?
どうやってクーペのオープンカーを買ったと思う?
Young n**ga cashed out
資産を精算して現金にしたんだよ
Popped so many Percs, popped so many Xans
パーコセットにザナックスを大量に摂取した
(どちらも近年過剰摂取等が問題になっている薬です。)
Young nigga ’bout to pass out
昇天間際だぜ
12 jump behind me, I got some in the car
サツがすぐ後ろまできてる、車に幾分か持ち込んだ
Young n**ga 'bout to smash out
速攻で逃げ始めるぜ
Migo hit that line, say he got some bricks
塊が入ったって売人から連絡が来た
Young fresh ’bout to buy ’em out
ぜんぶ買っちまうぜ
QuikTrip 'round the corner, dropped a nine
角らへんのクイックトリップに銃を捨てて
Got the J's in the lunch line smoking iron
ブツは銃を撃ちながら昼飯の行列の中で受け取り
Cocaine, cocaine cowboy, like Mickey Munday
コカインカウボーイ、まるでミッキーマンデーさ
(Mickey Mundayはアメリカ人の麻薬密売人で、コロンビアのメデジンカルテルのメンバーだった人です。Cocaine Cowboyというドキュメンタリーに取り上げられたそうです)
Take over the project, whip a line, me no wait
プロジェクトを引き継いでコカインの列を作る、待機列じゃないぜ
(コカインを吸う時に粉を線状に広げることがあります。)
I keep a .45 in my coat while I’m servin’ dope
ブツを捌く時はコートの中に45口径を忍ばせる
The J's in my hood smoke that crack, say it give 'em hope
地元のジャンキーたちは俺のコカインを吸ってる、与えてるのは希望だと言ってくれよ
Serve a n**ga whole brick, he hopin' that it come and go
奴に塊を丸ごとやる、一度きりだと願ってるようだが
Young n**ga tricked on he spendin' that money with Casino!
あいつはしてやられたぜ、金をカジノに注ぎ込むんだよ!
(Casinoが指すのはおそらくCasino本人。あるいはCasinoに払う金を得るためにカジノに行く…なんてこともあるかも)
[Chorus: Future]
Young n**ga, move that dope x2
若い奴らはブツを運べ
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
運んで売り捌け
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運べ
Young n**ga, young n**ga move that dope
若い奴らはブツを売り捌け
Young n**ga move that dope
ブツを運ぶ若い奴ら
Ayy, move that dope, ayy, move that dope
ブツを売り捌くんだ
Young n**ga, move that dope
若い奴らはブツを運ぶしかないんだよ
繰り返し
余談
Pharrellは当初この曲に参加するのを躊躇していました。というのも当時彼は子供向けアニメ映画、怪盗グルーのミニオン危機一髪の主題歌であるHappyが大ヒットしており、そうした中で薬物の売買についての曲に参加することでの批判を受けることなどを考えていたそうです。これに対しFutureは、あくまでここでPharrellに伝えて欲しいのはポジティブなメッセージであることや、HipHop界において大きな影響力を持つ彼からそうしたメッセージを発信してほしいことなどを伝え、最終的にPharrell も納得したそうです。こうした話からも、最初に述べたような若者たちへの警告のような側面が読み取れます。ある世界を描いているからといって、必ずしもそれを賞賛しているとは限らないということでしょうね。
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