あにまるワールド(仮): 2話
ザザザー。ザザー。
水の音の主は、海だった。
海?!じゃあ、僕の家から、かなり離れたところか?
海には何もない。
船もなければ、島も見えない。
ただただ水平線が彼方まで続いている。
ふと襲ってくる、絶望感。
僕は、とんでもないところへ来てしまった気がする。
あぁ、早く帰って、いつもの番組見て、布団に入りたかったのに..。というより、ボクは明日会社にいけるのか..?
怒りに震えている、あの上司の顔が浮かんでくる。もう、あんな風に怒られるのはイヤだ..。なぜボクはこう、上手くいかないんだろう..
ボクの気持ちは
どんどん沈んでくる。
そんなボクをよそに、
波はキラキラ輝きを放ちながら
いやむしろ、
こんなボクのことを ケラケラ笑っているように
寄せて、返っていく
ザッ、ザッ。ザッ。
ふと足音が聞こえる。
誰かいるのか?!
見ると、少し離れた砂浜に 何かいる。
ボクは思わず、駆け出した。
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近づくにつれ
だんだん影がはっきりしてくる。
その顔は
丸の両側に
何か垂れ下がっている、形..
(イヌ?)
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「ふーむ、この海の成分の割合からして、ここはカリブ海か..だが、周りには島が全く見当たらない。しかも、ここの砂浜は..」
なにやらブツブツと呟いている。
『あのー。』
イヌはいっこうに気づかない。
『あのぉー!』
「なんだね?」
そのイヌが振り返る。
四角いメガネが、キラッと光る。
手には何やら調査器具を持っている。
ん?
やっぱり手の甲に、何か書いてある。
(カタイヌ?)
『あのー、ここはどこか知っていますか?』
「それが、今こうして調べている所なんだが..いっこうにわからんのだよ..。矛盾点が多すぎる..。あぁ!こんなこと初めてだ‼︎」
そう言って、カタイヌは
自分の頭をくしゃくしゃする。
ものすごく動揺しているようだ。
「意識を失って、気づいたらここに居た。誰かが私を、ここへ拉致して来たに違いない..」
眉間にシワを寄せながら、
独り言のように呟く。
「ところで君は誰だね?」
『ボクは普通のネズミです。ボクも今日、気づいたらここへ来ていたんです。』
「私は、昨日ここへ来た...それからずっと、この島を見廻っていたのだが...。」
カタイヌは、少しうつむきながら、ゆっくりこちらへ歩んでくる。
「...その間、船で何者かが出入りした形跡はなかった...。」
はたと、その歩みを止める。
「すなわち、我々を拉致した犯人は、まだこの島にいる!」
えっ?!
...というか、何者も来た形跡もないのなら、ボクを拉致して、ここに来れなくない?
『いやぁ、でも、まだそうと決まったわけじゃ..』
「いや!そうに決まっている‼︎」
(...その自信はどこから来るんだよ?!)
「ここで、他に誰か見かけなかったかね?」
『えーっと、そういえば、あそこでネコに会いました。』
「ふむ、ネコか..。」
カタイヌは顎に手をあて、考え込む。
「ネコなのに、ネズミを見ても狩ろうとしないなんておかしい...。きっと、生かしておく理由があるからだ。そのネコが犯人だな..」
いやぁ、ただ、ゲーマーなだけですけど。
『ボクを怪しまないんですか?』
「ふん、そのちっぽけな体で、この私をどう運ぶというのだ。そのネコとやらと共犯だったら、別だがな..。...では、案内してもらおうか。」
そのイヌがとびっきりの、
キメ顔で言う。
「そのネコがいる処へと !」
(.........。)
(なんやねん!)
だが、ボクはおとなしく、このカタイヌをゲームネコのところへ連れていくことにした。
3匹集まった方が、知恵も出るし、
何か分かるかもしれない。
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