雲ひとつないような抜けるほど晴天の今日は
悲しいくらいに、お別れ日和で。
女関係がクソほどだらしなくて、天邪鬼で、日に日に太っていってて、髭が似合ってなくて、タバコ臭くて、あんまり風呂に入ってなくて不潔だったけど、
頭が良くて仕事ができて、美味しいご飯を作ってくれて、狂ってるくらいエモい写真を撮っていて、そして私のことをめちゃくちゃ好きでいてくれた人。
今日、棺の中で見た彼はブサイクな死化粧をしていて、髭も剃られていて、太りすぎて緩んだ輪郭は硬くなっていた。
最期の3日間は、朝から一緒に酒飲んでゴロゴロして、美味しいもの食べて寄り添って寝てゲームして、カラオケで点数バトルしてボーリングでガーターきめて、最高に最高に幸せだった。
だから、3日目の夜、私は彼にちゃんと次会った時は言葉で愛を伝えようと決めていた。
でも、その「次」は来なかった。
どうして最期に私に連絡してくれなかったのかな。
カッコつけて、クールに旅立ったつもりで、アホちゃうか?
こちとら死ぬほど迷惑かかっとるわ、ほんまにしばくぞ。
だから、もう一度、会いたいよ。
今、あなたがいない世界をどう生きていいかわからなくて、後を追いたくて仕方ないよ。
またあの何日着たかわからない服の体で暖をとらせてよ。
そして気付けなかったこと、謝らせて。
仕事がそんなにしんどかったなら、私がいくらでも養ってやったから。
「ヒモになりたい」を、冗談言うなって笑わないから。
私に独り身で生きる呪いをかけやがって。
絶対に一生許さないからな。
全くいい男ではなかったけど、大好きでした。
ほなまた、ね。