SF思考が生み出す相互理解とビジネス
こんにちは。
SF思考研究所 代表の武田です。
「SF思考は分かったけど、どんな未来を描いていますか?」という質問をいただきました。論理の飛躍もありお恥ずかしいのですが、今後の前向きな議論につながればと思い、私が期待している未来についてお伝えしたいと思います。
※そもそも、SF思考(Speculative Fiction Thinking)とは?はこちら。
「共感」で生活経済圏がつくられる時代
描いている未来は、価値観を相互理解して「共感」した人が集まり、「幸せな生き方」を実現する生活経済圏です。ビジネスの側面でいうと、社会関係資本という説明がされることもありますが、もっとシンプルに「気の合う仲間」と仕事を通じて互いに貢献し、リターンとして経済的な報酬を得られる共同体としての感覚です。
人やモノの移動が現在ほど活発でなかった時代には、「住む場所」によって生活経済圏が定まっていたように思います。その後金銭授受による「上下」関係の時代を経て、今後は「仲間」という同じ平面上の関係で生活する「共感の時代」の生活経済圏が広まると考えています。
現在でも気の合う仲間と仕事をしたり、シェアハウスに住むなど、価値観でつながる場面も多くなってきたように思えます。個人的には人種や国籍を超えたファン同士のコミュニティをつくり、パラレルワークで複数の仕事に関わる生き方ができたら幸せだと思っています。
メルカリなどのCtoCビジネスが拡大した背景にはSNSやスマホというツールの普及が大きく影響したと思いますが、今後は「共感」からビジネスにつながり、最終的には生活そのものを支え合う共同体になれたら嬉しいと思います。無理に自分に合わない仕事を受け持って心を病んだり、組織が個人に無理強いするのではなく、共感できる人同士が支え合える仕組みを実現したいと思います。ベーシックインカムが導入されたら、「よりよく生きる」ための相互理解を促進できるSF思考は、活躍できると考えています。
価値観は100%一致しなくて良い
一人ひとりの価値観は異なるので100人いれば100種類の価値観があると思います。私が実現したいと考える共感による生活経済圏は「100%一致しなくて良い」関係性です。
「会社に就社するんじゃない!あくまでも就職なんだぞ!」と言う一方で、「自社のビジョン、価値観に一致しない人が課題」と嘆く経営者がいます。私の視点では、完全一致は無理です。我々の価値観はオリジナルで、誰かに強制されたり、押しつけられるものではなく、どこまでも自由で良いと思います。誰も仕事や会社の奴隷になる必要はないのです。
私が理想とする生活経済圏では互いに交わる部分で共感し、共同体を築くことが幸せな生活に近づくと考えています。上の図は一人ひとりの価値観を円グラフで表現したのですが、青い部分の価値観は3人に一致しているので、この部分で共感することで仲間になれます。一方で、紫色の価値観は一人しか持っていないので、他の2人が共感することはないでしょう。でも他の誰かとであれば共感できるかも知れません。互いを理解することができれば、下の図のように発展する可能性があるのです。
このような共感ベースの集まりが世界中で次々に生じ、それぞれが生活経済圏をつくる日に向けて、SF思考を使ったフィクションで共感を増やしたいと考えています。
ジェラシーさえ感じるSF思考の例
ここまで抽象論が続いたので、ぐっと具体論で〆たいと思います。
OPEN MEALSというプロジェクトです。詳細はWebサイトを見て頂いた方が分かりやすいと思いますが、「食べ物」に立方体の規格をつくり、食用3Dプリンターで世界中どこでも食べられる様にした、食の革命です。
このプロジェクトの発案者は電通の榊さんです。彼は会社の支援が得られないまま、国内で自分のアイディアの賛同者を集めてコンセプトムービーをつくり、世に問うべくSXSWに出展。その後、彼のアイディアに共感した世界中のメディアから取材を受け、ファンの輪が世界中に広がりました。本来であれば今年は実店舗を展開する予定でしたが、新型コロナの影響で延期になっている様子です。
・・・お気づきになりましたか?私自身がこのプロジェクトに共感したファンなのですw プロダクトが生まれる前の「フィクション」に共感しているのです。
私が貢献できることは、このプロジェクトの存在を広めることです。出会った多くの人に、プロジェクトの面白さを伝え続けています。このプロジェクトの本当にすごいところは、プロダクトの作り手も、拡散する人も、将来食べる人も、みんなファンになってこのプロジェクトの一員になった気分であることです。「みんなでつくる」を実践出来ていて、もはやジェラシーすら感じますw
この例に続きたいですね! 最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
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