霊能者さんのお話会ーその2

次の霊能者さんのお話会までの間に色々な進展があった。

• 家族についている眷属がみな長女が見える周波数に合わせてくれたので当たり前に見えるようになった。
ただし次女の天狗を除いて。
次女の天狗は次女の天狗らしくイタズラ好きで未だに(今現在)姿をあえて見せないようにしている。
が、圧が凄いのでどこにいるかすぐバレる。
気配が無い時はだいたい山へ出掛けている。
眷属は基本圧も気配も無いが、次女の天狗はあえてなのか圧がある。

• 周波数を合わせてくれてはいるものの、長女の見える能力で見ているとさすがに疲れてくる。
なんとなしに「百ちょっと目貸して。」と冗談のつもりで白狐に言ってみたら、なんと借りる事が出来た。
「え…貸せるんだ…。」長女本人も驚きである。
眷属によって見えるものに多少の違いがある。
例えば長女のタヌキは幽霊やおどろおどろしいのが苦手なので幽霊を見ないようにしているし、天狗の目は妖怪まで見えていたりする。
眷属それぞれが自分の必要に合わせて特化してるらしい。
これによって長女はほとんど疲れを感じずに済むようになった。
これには私もほっとした。
私が知っている霊能力のある人は、だいたいが体を壊してしまう。
見える能力を使うにもエネルギーを使うし、幽霊を相手すればまたエネルギーも取られる。
しまいには自分の中に取り込んで還すところへかえしていたようで、
幽霊は人の思いの塊でもあるので、その思いを取り込むという事は当然健康ではいられない。
病は気から。

眷属の目を借りれた事で随分エネルギーの消耗を防げる事に私は胸を撫で下ろした。

•眷属の目を借りる事で世の中の眷属が全て当たり前に見えるようになった。
地面を見れば地脈(勝手にそう呼んでいる)が見える。
人だけでなく生物の魂も見える。
物に宿る付喪神に精霊の類。
守護霊と言われる類のものは以前から見ようとすれば見えたが、今はどっちの家系の人か何代前の方かも当然のようにわかる。
幽霊が嫌いな長女にとっては残念だが、長女についているタヌキの目以外は幽霊が以前より生身の人間と変わらずくっきり見えてしまうので人と幽霊の違いがあまりわからなくなってしまった。
それにより、むしろ幽霊がどうでも良くなってきてある意味苦手を克服しつつある。
人の体の中も見えるらしいが幽霊を見るより嫌だそうで見ようとしない。

• この頃、白狐の百のスパルタが始まる。
長女はある日曜日に夢を見た。
山で白い天狗と白い着物で琵琶を持った女の子に会う。そこに百がいて行ってこいと言う。
日曜の昼過ぎ、ぐっすり寝てた長女がはっ!と驚いたように目を覚ました。
「百〜〜…寝起きの美人は怖い…。」と長女が言った。
どうやら百が長女の胸に座って見下ろしてした模様。
「なんか山行かないと…。」長女が言った。
「へ?山!?まだ雪あるよ!?」
季節はまだ春の手前だった。
「わかった、とりあえず○山行こ。」と、なんとなしに近くの山の一つが思いついたので向かう事にした。
どこを目指すかもわからないがただ思いつくままに雪の積もる山を登って行く。
すると「あ、いた。」
長女は太く背の高い木の上を眺めていた。
夢で見た天狗だそうな。
私達はその天狗を銀ちゃんと呼んだ。
その後、夢で会った女の子にも出会いみやこちゃんと名付けた。
どちらも宇迦御魂神の眷属で、その山にはウカさんの眷属ばかりが働いていた。
後に暖かい時期にその山を頂上まで登山して発覚したのだが、稲荷が祀られていた。

眷属も人につくと経験になるので私達のところへ来る事になった。
もちろん山の仕事と兼任である。

• 野良眷属に度々出会う。
ついていた人が亡くなり、次につくまでの間フラフラしている眷属の事を私達は野良と呼んだ。
ある日は商業施設内のパン屋でリスがパンを食べていた。
長女はギョッと驚いて「そこのリスは本物?」と聞いてきた。
「いや、いないよ。」と答えると、最初はリスの動物霊かと疑ったが話を聞くと土地神さまの眷属でついてた人が亡くなって今はまだ決まってないからここで食べていたという。
眷属の食べるという行為はエネルギーを取り込むようなかんじで
やはり人の食べ物を好む眷属はこの世っぽさがある。
百や私の眷属はあまり人の食べ物を食べないのでなんだかスンとしていて神の使いぽさを感じたりする。
眷属は基本、地脈からエネルギーを得ているらしく人の食べ物から得なくても充分足りているそうだ。
なので、きっと人の世に馴染むのに摂取しているところが大きいのではないかと感じている。
又、眷属が食べた後の食べ物は味が抜ける。
なのでパン屋で出会ったリスに、ここに居たいのなら良いけれど我が家に来ないかと尋ねると、行くという。
私達はリスにモリスと名付け我が家の生き物の管理をお願いした。

ある日は近所のコンビニのデザートコーナーに黒ヘビがいた。
その時も長女は驚いた顔で固まっていた。
「黒ヘビいるんだけど…」
その場で長話も何なので、とりあえず一緒においでとそそくさとコンビニを出た。
すると、コンビニのすぐ裏のマンションに住んでいた独り身のおじいさんについていたそうで、やはり次が決まっていなかったからなんとなしにコンビニでデザートを食べていたそうだ。
私達はクロちゃんと呼び、今は夫についてしっかり働いてくれている。

そんなこんなで次の霊能者さんのお話会までの約一ヶ月程に沢山の事があった。
まだまだあったのだけど今となっては細かく思い出せない。

霊能者さんのお話会の日。
やはり雰囲気はあまり変わらなかった。
家主のセラピストさんとそのパートナーと話すタイミングが多かったので
長女が眷属が見える事や魂が見える事を伝え、セラピストさんとパートナーに何がついているか伝えた。
セラピストさんには白い牡鹿がついていて度々白い牝鹿がやってきていた。
その事を伝えると「もしかして娘のかな!?」というので娘さんの写真を見せてもらった。
写真を見て名前を聞くと、間違いなく眷属はそこへ見に行く事が出来る。
今となっては、セラピストさんの眷属に聞けば良いだけだったのだけどその時は百に見に行ってもらった。
「そうみたいですね。」牝鹿はセラピストさんの娘さんの眷属だった。
「実は昨日ケンカしてね…」と、離れた地に住む娘さんと電話で大ケンカした事を聞いた。
なるほど母親がまだ怒っているか気にして様子を見に来ていたのか。
その人の眷属に好きな食べ物などを聞くと、だいたいがリンクしていたりする。
牡鹿は鹿なのに肉が好きだと言い、パートナーの狼は飲み物や果物が好きだと言った。
それは本人達の好物でもあった。
長女が眷属の目を借りて見る人の魂は、形がみなそれぞれでその中にだいたい2色が混じり合っている。
今でこそ、それが神様の分霊で色によってどの神様のかわかるが、その時はまだ見えたままを伝えていた。
セラピストさんは、そこにいる人の眷属を長女に聞いていった。
「ウサギちゃん!わかるー!」てなかんじで次々に聞いていく。
そしてスマホを取り出して何やら調べはじめる。
「ブタさんはお金だってよ!」
長女が伝えた眷属は動物占いと化していた。
セラピストさんが霊能者に長女が眷属が見える事を伝えると
「その人の個性が動物の形として見えるんだろうね」
と返ってきたので、ますます動物占いと化していった。
霊能者さんには魂も無く、眷属もついていなかった。
眷属がついていない人の場合、
 自殺した事のある魂であったり、人を恨んだり呪ったりした又はしていたり、メンタルが落ち込んでいて所謂闇堕ち状態だったりと理由がいくつかある。
眷属が消えかかってる人もたまにいたりする。
私は霊能者さんが死神と何らかの契約をしているのかもな…と感じたし
にこやかなその笑顔から、自分のフィールドを荒らすなよというような圧を感じて
その場は動物占いで良いと判断した。

それで良いのだ。と何だか腑に落ちた。

見えない世界というものを私は誰かに教えを請おうとしていた。
主導権を自分達で持とうとしていなかったのだと気付かされた。

私達が教えを請うべきはどこかの霊能者ではなく、今傍にいる眷属達じゃないか。

霊能者にも、それぞれに対応している階層があると私は感じている。
幽霊などの層は体感もわかりやすく現実世界にもすぐに影響が出る。
神様の階層になると現実世界に影響が出るまでタイムラグがある。
新しく眷属がついたりすると、人にもよるが素直で純粋な子供だったりすると割と早く影響が出るし
大人だとだいたい3ヶ月程して変化に気付き始める人が多い。3ヶ月経とうが半年経とうが気付かない人は気付かない。
元々神様も眷属もそういう階層の存在だからだ。

霊能者さんの集まりに参加する事によって長女も私も肚が決まった。
それからは、見える人のことを調べたりする事もなくなった。

ただまんまを受け入れ、出来る事をしていく。
それだけ。

その後すぐ、私の地元に住む友人の眷属が消えかかっているのがわかった。
もしやと思い眷属に見にいってもらうと、中に入っていた。
それも魂の近くまでいっていて、やはり過去世で人の旦那さんを奪ってしまったのか、その奥様のようだ。
因果なもんで友人は20年付き合っている恋人がいるが独身。
都合良かろうが悪かろうが勝手に人についてるものを取るわけにはいかないので、
天狗の銀ちゃんに中に入ってるものが囁かないように抑えてもらい、友人に取っても良いか確認し了承を得て取ってかえすところへ返してもらった。
10年程前から入っていたようだが、銀ちゃんは人間の気持ちなどわからないので、話も聞くことなくさっさと返してしまった。
なので銀ちゃんには、次回こういう事があったら思いのたけを聞いてから返してね、とお願いした。
友人は今、日々生き生きと楽しそうに暮らしている。

霊能者さんの仕事を横取りするつもりは無い。

ただ目の前にそういう人がいたら私達は出来る事をする。

神様や眷属の世界に対価交換だとか所有するという概念が無いので、お金を頂くつもりもない。

働いてくれているのは眷属達なのだから。

長女も私も一番恐れているのは、自分がやっているという奢りだ。

誰にでも眷属はついているし、誰でも神様と話す事が出来る。
本来、人に備わっているものだ。

悦びを持って出来る事をさせて頂きながら、ただ暮らしていく。
生きていく。

そう肚を決める機会を与えてくれた霊能者さんに今はただただ感謝している。



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