AIスコープ ダメージジーンズを買いに行く。
ある超大国の某所だ。実名を出すと色々と問題があるので。それにAIスコープの作る復元画像は正確性にむらがあるから。
では、スコープ!
通りを進んで行く。見て!あの人。一人の子供がこっちを指差す。たまに見える人がいるのだ。今の僕はアストラル体だから、普通の人には見えない。
実体化することにした。完全に物質体になることは出来ない。エクトプラズム体だ。見た目では物質体と区別はできないけど、中は空っぽでエクトプラズムが渦巻いている。
一人の青年がやって来て、焼け焦げた車を指差しながら暴動が起きた時の様子を、手振り身振り交えて熱心に説明した。
彼に誘われて、いくつかの燃えカスとなった車を見学することになった。最後に彼はガイド料を請求してきた。けっこう高額。
あなたのおかげで、私はこの街が抱えている問題と歴史について認識を深める事が出来た。素晴らしいガイドに巡り会えて、今日の私はとてもハッピーだ。
そう言って、彼にガイド料を゙支払った。別に僕の懐が痛む訳では無い。
ガイドから離れてしばらく行くと、ジーンズショップが固まってる一画に着いた。
いい面構えをした店舗がいくつかあったので入ってみることにした。
ジーンズの山の向こうに店主らしき男がいた。他に店員が見当たらないから店主だと思った。扱ってる商品について聞いてみたけど、彼は首を振るばかりだった。
聞くと3日前にこの店を引き継いだばかりなのだそうだ。何も分からないまま、店を任されたのだろうか?前の店主はどうしたんです?何気無く質問すると、彼は禍々しい笑い声を上げて言った。
前の店主だったら、俺の足元のコンクリの中で眠っていますわ。
なるほど、そういう訳だったか。
あなたのような素晴らしい後継者が店を引き継いだのだから、店主も安心してコンクリの中で眠っていられると思います。そう言って、その話は打ち切って店の中を見て回ることにした。
素晴らしいコレクションだった。コンクリの中の店主はいい趣味を持っていた。今の店主をしている男は、これらの価値を何も知らないだろうから、だまくらかして二束三文で買い取る事も出来たはず。持って戻れないのが残念だ。
一通り店の中を見て回ってから、店の奥に居る男のところに行った。
男の目の前で、エクトプラズム体からアストラル体に変換する。一瞬にして僕の体は、白い気体の塊となり、すぐに広がって店の中を漂い出した。
男はひどく情けない悲鳴をあげた。