流刑地のジョナサンをAIスコープしてみる
チャードバックの、かもめのジョナサンは大好きな作品だ。小説とはちょっと違う。今は手元に無いのだけど、また手に入れたいと思ってる。ただ。書き足した完全版というのがあるのだけど、これは駄作だ。新キャラのビルドゥングスロマンになっている。ありきたりな青春成長系漫画みたいだ。もう雰囲気台無し。始めっからあったという触れ込みだけど、嘘ではないかと思ってる。悪いエージェントにそそのかされて最近書かれたような感じを受けた。
ジョナサンは飛ぶことが純粋に好きだった。他のかもめ達は生きるために飛ぶだけだった。毎朝、漁船の周りを飛んで、引き上げた網から、こぼれ落ちる魚を食べるために飛ぶだけだ。目的も無く飛ぶことは無かった。
でも、ジョナサンは空を飛ぶことには特別の意味があると考えていた。翼を持って生まれたことには、何か理由があると思っていた。生きるために飛ぶのではなく、飛ぶために生きるべきなのだと思うようになった。
ジョナサンは色々な飛び方を研究した。仲間のかもめ達の前で、曲芸飛行をしてみせた。
すごいだろう!こんな飛び方だって出来るんだ。
しかし、かもめ達の関心は薄かった。重要なのは、漁船の網からこぼれ落ちる小魚を、他のかもめよりも、いかに多く口にする事が出来るかだったからだ。
かもめの長老達は激怒した。ジョナサンをかもめ界の秩序を乱す、危険思想の持ち主と断定し、絶海の孤島に流刑にすることにした。
作品では、この流刑地でのジョナサンの生活について、あまり書かれていない。ジョナサンは、特に気落ちすることもなく、たった1羽ひたすら飛び方の可能性を追求する毎日だった。
この様子をAI生成画像で、ちょっとだけ視覚化。
かもめでは無くて、海猫になっているのだけど、御愛嬌!たぶん殆どの人は、かもめと海猫の区別はつかないだろうから。このまんま行っちゃう。
これは、生成されてきた画像を、漫画のようにコマ割りしている。少し、動きを出したかったから。島のあちこちを飛び回ってみても、誰もいない。本当に独りぼっちになったのだ。そんなジョナサンの孤独を感じて欲しい。
生成されてきた画像を見てると、千葉の海岸でソロキャンプしていた時の事を思い出す。
ある夜に夜光虫がやって来た。波打ち際で崩れる波が、青いネオン管のように光った。
スイミングゴーグをつけて夜の海に入り、泳ぐと銀河で泳いでいるみたいだったな。
流刑地って、なんかロマンチックなんか感じがする。もちろん、実際は悲惨なものだったろうけど。あんまりネタとして使われてないから、面白いかも。
死刑制度は、廃止して絶海の孤島で終身刑というのはどうだろう。そこで自足自給で生きてもらう。税金はかからない。
犯罪は社会が作るという考えには一理あって、孤島で自足自給の生活をしている分には、犯罪を犯しようがない。
罪は、関係性から生じるものだと思う。
絶海の孤島に流刑になってからは、物語は殆ど動かない。ジョナサンはそこで、ひたすら空を飛ぶことを楽しみ追求した。やがてジョナサンも年老いてくる。
完全版にも、意味はあって、このままではジョナサンの飛ぶことへの情熱も知識も、ジョナサンの死とともに無に帰す訳だけど、それを受け継ぎ、伝えて行こうとする若いカモメが現れるのだ。
ジョナサンの命が、燃え尽きようとしているとき、高次元世界からの使者がジョナサンを迎えにやってくる。ジョナサンは聖霊となってネクストワールドに向かって飛立って行くんです。
あまりにも純粋なために、周囲から孤立して、奮闘するものの力尽きてしまうけど、その想いは失われる事無く引き継がれ、やがて大きく実を結ぶ事になる。
そんな話が好きですね。