七年柱(しちねんばしら)
大正から昭和に変わったからと言って、暮らしに大きな変化は無い。
田舎に不相応な洋館の豪奢な部屋に、息を潜めて暮らす令嬢、鹿代(かよ)は尚更だ。
「近頃は毎日雨ねえ……。ね、おカヨ」
おのれと同じ名で、同じ十七歳の女中のおカヨを部屋に呼び、他愛ない話で暇を潰す毎日。
「はい。お嬢様……」
鹿代の相手をしている間、女中おカヨは昼間の事を考えていた。
おカヨは昼間、鹿代の父である村の名主の遣いで、一軒の家を訪ねた。その家の八つの娘としばし喋った。そのうち娘はおカヨの耳に口を寄