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日記を堪能する幸せ

人間、何かしら良いところがあるらしいのだが、私自身はいったい何が良いところなのだろうと考えて、思い出したのは視力だった。

中学の頃の視力検査で、2.5以上は確実にあるはずだけど、学校にはそれ以上を測定するものがないので正確な視力を教えてあげることはできない、と言われたことがあった。視力検査だけで眼科におもむく勇気もなく、今まで一度も自分の正確な視力を知らずにきたけれど、きっと見えているのだから悪くはないだろうと、勝手に思っていた。

しかしである。最近は免許の更新に行くたびに、あの「C」みたいなのがはっきりと見えないことも増えてきた(ランドルト環という名前だそうですな)。見えないことなど一度も無かったアイツが、おぼろげになってきただなんて。

「目だけはいい」のが自慢だった私にとって、視力の低下は非常に受け入れがたい。しかし事実として視力は低下しているし、そしてそれは老眼と言われるものではなく、どうやら反対の近眼らしく、そうか目って悪くなるんだ・・と、考えてみたら当たり前のことなのに、40年近くも視力の低下に見舞われなかった身としては驚く現実なのだった。


そんな昨日の読書は、柿内正午さんの『町でいちばんの素人』を。

ずっと気になっていたZINEと呼ばれる本を購入してみた。どうやって買うのだろうかと思っていたのだけど、ネットで非常に簡単に購入できた。やってみたらどうってことなかったので、もっと早くに購入していたら良かったような気がしているけれど、まあそれはそれで。

柿内さんの文章が大好きで、『プルーストを読む生活』は何ループ目なのか分からないほど読んでいるのだけど、今回の『町でいちばんの素人』『プルーストを読む生活』の続編というか、その後の日記というか、とにかくそれがやはりとても良くて、柿内さんの文章に触れられるだけで幸せ。一気読みするのはもったいないので、少しずつ読もうと思っていたのに、気がついたら結構ページが進んでいたものだから、慌てて中断した。

『町でいちばんの素人』の他に、柿内さんのZINEをあと2冊購入したのだけど、どれもこれも文字が小さい。視力の衰えが見られる私には少しだけ辛い部分でもあるのだけど、いやいや柿内さんの文章が読めるなら、文字の小ささなんて屁みたいなものですよ、と思う自分がいたので、まあいっか、と思ったりした。

それにしても日記は良い。柿内さんの日記と『アンネの日記』を交互に読みながら、日記の良さを堪能して幸せな時間を過ごした。


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