『ひとりでカラカサさしてゆく』読了
読み終わりました、『ひとりでカラカサさしてゆく』。
最後まで悲しい話ではなくて、本当に助かりました。悲しい話だとメンタルがボロボロになるからね、だったら喪失がテーマの本を選ばなければ良いのだけども・・読みたかったんだ、江國さんの本が。
喪失や終焉がテーマであっても悲しくないのは、この本の主軸となる老人たちが割とのほほんとしているように見えるからでしょうね。自分たちの最期を決めた彼らが淡々としていることに、こちらが救われてしまっていたのかもしれない。
この本の中で淡々と描かれているものの一つに、現在の感染症がある。感染症で規制された世界になってからというもの、世界は大きく変わったような気がしていた。しかしよく考えてみるまでもなく、世界は大きく変わっているわけではなく、少しずつ少しずつ、軌道修正をかけながら人々は歩んでいるだけなんだと、本を読みながら考えていた。
感染症や誰かの死は、それまでの世界が一変するように思えるけれど、実のところ生活は地続きだから、何もかもがまるっと大きく変わったりはしない。世界が変わり果ててしまうなんていうのも、幻想の一つに過ぎないのだと改めて思ったりしていた。
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