idollー I'm not consumed.
アイドルを目指す彼女。
「私は消費なんてされない」当初あの子はそんなことを豪語していた。
非常に馬鹿らしい言葉である。
人は消費され消費し、喰い喰われ、取り合いの社会である。幸せであると錯覚した時点で勝ちであり負けである。
生きることすなわち一生をかけて何かを求めることである。そんなことは皆理解しているはずだ。
アイドルは象徴である。
アイドルは消費の象徴である。
私はそう考える。
自己を表現するなどの綺麗事ではない。人に好かれる努力をし、誰にも見られない場所で自己を自ら消費する。
しかし、それでこそ生きることなのだ。
人は生きるので自己を消費する。
燃料のない箱になぞ誰も乗りたがらない。
今私がこの場で証明して見せる。
私がアイドルとして消費されていく様を目に焼き付けろ。
私を見ろ。
私を消費しろ。
今この場で人として生きる私を。
見ろ。
これが人だ。
これが人の偶像だ。
人は生きるためには消費されねばならぬ。
それが人が人の偶像になる覚悟である。
崇拝せよ。お前の本当の姿を目に焼き付けろ。