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時のない家

長い間、
住宅の仕事をしていたため、
いろんな人の家に行った。

そんな中、
人の家に入ると感じることがある。

それは、それぞれの家に
特有な時間が流れていること。

なんというか、
玄関を入ると独特な時間を感じる。

とくに、古い家は家人が家を大切にしていると、心地よい時間が流れている。

反対に新しい家でも、
大切にされていない家は
どこかざらついた感じがする。

たまに、家を解体することに
立ち会うことがあった。
家を解体すると、
家の時間は跡形もなく消えてしまい。
普通の砂利と土に帰ってしまう。

同じく立ち会っていた
家の主人が、
何もない空間を眺めている。

彼の目には、
家の上棟式や子供の誕生。
ひとりで深夜、
ビールを飲んでいる若い自分が
見えているようだ。

 

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